気味が悪い、怖い話だったが、展開が気になって、一気に読んでしまう。あまり読みたくない分野の小説だな。環境汚染に関わる現実的な社会問題を扱った小説。
主人公は最初は中学1年の洋だと思っていたが、全体から見ると、登場人物の名前を章にして、各自の行動が描かれていく。
発端は洋。父親が別の女性と関係し、子供まで生まれて、離婚。捨てられた格好の洋と母親は実家近くに引っ越し、アパートで二人暮らしをしていた。世間の目を気にして、友達付き合いを避けていた洋。夏休みになったある日、近所の人工の川で、捨てられた熱帯魚を見つけ、通りかかった老人の言葉から、その熱帯魚を施設につれていこうと、拾い上げ、自宅に連れ帰る。二日後つれていく電車内で、次々と死んだ魚たち。施設に向かうのを諦め、帰った洋は水の中に不思議なものがいることに気づく。好奇心から、奇妙な生き物の観察を始め、さらに知ろうと、色々な環境で生息状態も実験する。
そして、その水を体内に取り込んだ老人と飼い犬がボケてしまうということを知る。
さらにそれを利用して、日ごろ煩わしいと感じていた人物に、その水を飲ませて懲らしめようとしてしまう。最初はおとなしくなるだけだったのに、以降痴呆が進んでいくことに恐怖を覚えてしまう洋。
心を寄せる同級生の女子に使わせたことがきっかけで、その父親である暴力団員に秘密がばれ、観察日記と微生物を取り上げられてしまう。彼らは嫌なやつをおとなしくさせる魔法の水、優しい水として、それを売り始める。
一方、近所の獣医だった須賀は、診察していた犬の容態の変化に戸惑い、原因を究明し始める。そして洋が老人と出会ったことを知り、川の水に異常があるのではないかと推量し、微生物研究所の篠宮に相談する。
次第に痴呆状態になる年代の様々な人々が現れ、問題になってくる。
一方警視庁のサイバー対策室の吉沢は、優しい水のネット上の宣伝に目を止める。そして、違法な販売とそれによる病的な異常に注目していく。
篠宮と吉沢の協力により、事件の様相は次第に変わっていき、ついに洋にたどり着き、暴力団にも行き着き、全容は解明されるが、洋自身も病にかかってしまう。その所業が世間に知られ、引っ越しをすることになってしまう。
最後に、謎の微生物を国内に持ち込んだのが篠宮の上司であったことが明らかにされるが、それは公表されない。
現実にありうるだけに怖い話だな。