終日雨の土曜日、週明け早々に返す本を読むつもりだったが、読みかけてみたが、数ページで続かない。ル=グインのSF短編集「世界の誕生日」は、ファンタジーのような異世界が舞台のようだが、興が乗らない。
小説でないものを読む気にもなれず、これを読み始めた。
名探偵・浅見光彦と天才・天地龍之介の対決。前者は内田康夫さんのシリーズ探偵であり、後者は未読だが、柄刀さんのシリーズの主人公らしい。
坊っちゃん風の浅見と童顔の天地など、似た風貌を持つ二人がある事件に関わり、その推理力で事件解決に活躍する。
今は従兄弟と同居している天地が恋人である一美と三人で参加した山梨県塩山での砂金採りイベントに参加して、死体を発見する。その際に怪我するほど活躍したのに、警察からあらぬ疑いをかけられたことに、義憤を感じたイベント主催者である、地元の小津野財団に招待される。被害者が財団の社員とわかり、天才的な推理力を持つ天地たちも事件の解明に首を突っ込むことになる。
一方、浅見は同窓会で知った先輩の娘が白血病と戦い、骨髄移植を待っているという話を聞き、仕事ではなくて個人的に興味を持ち、関係者に取材していた。そして、骨髄移植のドナーが見つかり、いよいよ手術の当日に、病院にいた浅見。そこへ悪い知らせが届く。ドナーである若い女性、上園望美が、近くの病院である男に拉致されたという。ドナー側のコーディネーターである、若い女性原口茜と、事件に関わっていく二人。
望美を拉致した男は、どうやら彼女が地元の金のミダスと呼ばれる富豪である、小津野財団会長の隠し子で、それを認めさせて大金をとることを目的にしている様子。その行動には影の軍師と思えるものがいたらしいが、その後軍師は手を引いたようで、代わりに、浅見と警察に、彼女が隠し子である確証を見つけることを要求してくる。さらに、小津野一族の秘密も暴けと言う。ドナーがいないと取材してきた少女の命に関わる。そのために、浅見たちは捜査を進めていく。
天地の関わった事件と、浅見が調べる事件が、小津野を媒介にして交わり、双方が対面することになる。それによって、二人の探偵が事件解明に関わっていく。
財団グループの社員が5年前に行方不明になっている、その行方は?触るものをすべて金に変えるミダスのように、武田信玄の部下から始まり、現代にまで命脈を保ち、財産を持つ小津野一族のなぞ?
望美は本当に小津野会長の隠し子なのか?彼女は阪神大震災で発見された赤ん坊で、家族も見つからず、記録もなくて、施設に入り、5才の時に養子となったが、今は養父母とも亡くなっている。
拉致の男の要求に従い、調査を始めた浅見と天地だが、はじめは雲をつかむような出だしだったが、得意の推理力により、次第に謎の解明に迫っていく。
550ページ近い大作だが、一気に読んでしまった。なかなか面白かった。

今度は柄刀さんの天地シリーズも読んでみたくなった。