上巻では、2枚の心霊写真をめぐっての謎解きと、それにより英一が関わっていく人々が描かれたが、下巻では英一の家族の秘密、トラウマと、不動産屋の事務員である垣本順子に対する英一の恋心と、順子の秘密が主なテーマとなって、話が進む。

花菱家の秘密、トラウマは、10年前の妹風子の死をきっかけにして起こった。結婚を反対され、疎遠だった父とその家族との仲は、風子により、やや緩んでいた。男子ばかりだった父の実家では、女児の孫ができたことで、可愛がられた。その風子が突然の病死で、心が乱されたのか、同じように悲しんでいた両親を強く非難し、叱責した。そんな母のために、父親は実家との縁を切り、以後付き合いをしていなかった。
そんな実家の祖父が危篤という知らせがあり、実の父親だから行くべきだと言う母親と、母と実家とは縁を切ると約束したから、行かないと言う父が夫婦喧嘩。家出した父は英一の友人テンコの家で厄介になる。結局母に説得され、祖父の死の直後に父は実家へいく。
不動産屋の事務員である年上の女性、垣本の自殺願望を止めるために説得した英一は、彼女のいいわけである電車を正面からみたいという希望に答えるために、鉄道愛好会に頼んで、そんな場所を探してもらうことにする。
小暮写真館に、前の店主が幽霊となって現れるという噂があったが、英一の弟ピカが、その店主に会いたがっているということを知った英一。もしかすると、弟の願いは亡き姉風子に会うことではないのかと思う。
店に空き巣が入り、幽霊の店主により追い出されたという事件をきっかけに、店主のことを知りたくなった英一。
今は横浜にすむ小暮写真館の店主の娘に会いに行き、亡き父親のことを詳しく聞き出した英一とピカ。店主はきっと幽霊となって、今も店にいる、英一たち家族を見守ってくれているのだと思う。
フリースクールに通う生徒が作ったと思われる不思議な写真をめぐって、また調査することになった英一。その間に英一とデートらしきことをしていた垣本。
ピカが風子に会いたかったのは、謝りたかったからと知った英一。どうやら父親の実家のものが、風子の死の原因の一つはピカだといったらしい。風子の前に病だったピカ。その看病疲れで、母は風子を医者へつれていくのが遅れ、死んだのだと。それを知った英一は腹が立った。父方の親戚に文句が言いたくなった英一は、祖父の法事に父に代わって出席し、彼らを罵った。その場に、英一は垣本を同伴する。その後、大学の映画研究会の催しに行くことを約した二人。

そんな垣本が、約束の時間に来ないことから、心配になった英一は、彼女が睡眠薬の過剰摂取でアパートの部屋で倒れているのを発見する。不眠症のため飲みすぎただけで、自殺ではないとわかったものの、その不眠症の理由が気になる。面と向かって問いたださずに、放置しておいたら、垣本は姿を消す。
不動産屋の社長に聞いてみると、彼女は家出していたらしい。男にだらしがない母親を持ち、父違いの兄と弟を持つ彼女は、母親の同棲相手に性的暴行を受けた様子。高校生の時に家出して、母とは連絡をたち、母の兄である伯父とだけ連絡していたらしい。
そんな母が病気で入院することになり、一目娘に会いたいと言い出し、娘の居所を知らせてしまい、彼女を訪ねてきたらしい。その母から逃げるために、垣本は姿を消した。
心配する英一だがどうしようもない。でも彼女にとって、英一はこの世での唯一の拠り所になったのではないか、だからもう自殺を心配することはないと、社長は言う。
英一が法事の席で暴言はいたことがきっかけで、父の実家との関係が少し好転、さらに同時に疎遠になっていた母の実家とも付き合い始めることに。
大学に入学した英一のもとに、垣本から封書が届く。何もかかれていないが、英一が手渡した、正面から列車を見える場所を調べたファイルにあった駅の写真だった。正面から写った列車がある。垣本を思って感慨に更ける英一。駅は長居する場所じゃない、そこから旅立つ場所なんだ。