図書館本を拾い読みしていたが、どうもいまいち興が乗らない。江戸時代の様々な職業を、その仕事をする主人公の時代小説を紹介しながら解説した本。さらに小学館で出してる小冊子に連載された、新刊著者のインタビュー集。50人ほどの現在活躍中の作家が紹介されていて、読んだことがある作家や、読んだことはないが関心ある作家と、拾い読みしていた。
週明けに返す図書館本ということもあり、興味もあるので読んでみたが、そのうちに何か物足りない気持ちになってきて、やはり物語が読みたい、と。
で、買ってあった文庫の「小暮写真館」を読み始めた。
やはり、前に一度は読んでるが、細部は忘れてる。二度目でもいい。
商店街の中にある写真館付き住宅に引っ越してきた家族。大会社で地味な総務に勤める父。大きな会計事務所のパートをしている母。高校1年になった英一、はなちゃん。小学生の弟、光、ピカちゃん。二人の間には女の子がいたが4才で亡くなっている。
結婚20周年で、マイホームを購入した花菱家だが、古い日本家屋で、不動産屋は土地だけのつもりで、家屋は新築されると思っていたが、父親は古びた家屋が気に入って、内部を改装しただけで、家屋をそのまま残した。表に面した、もとの写真館はそのまま残して、備品だけを始末した。さらに看板まで気に入って残したのが災いして、事件が始まる。
認知症だった独り暮らしのもとの店主は80台で心筋梗塞で急死。一人娘は、主人の両親を介護しているために、家を手放すことに。
ある日、英一に前に現れた女子高生が1枚の写真を突きつけてくる。近所の神社で行われたフリマで買ったノートに挟まれていたという。小暮写真館と印刷された封筒に入っていたので、ここへ持ってきたという。休んでいた写真館が再開したと誤解したらしい。
問題の写真は葬儀のあとの宴席らしく、少人数が写っているだけだが、そのなかに顔だけの部分がある。いわゆる心霊写真。できればもとの持ち主に返したいと。
人がいい英一は渡された写真に責任を感じ、なんとかもとの持ち主に返したい、さらに本当に心霊写真なのかどうか確かめたい、さらに、心霊ならどんな事情で、どんな気持ちからできたのか知りたいと思い、一人調べていくことに。
小学校時代からの友達で、歯科医の息子で優等生のテンコ、店子力や、不動産屋の事務員垣本が協力する。二番目の写真ではテンコと同じ軽音楽同好会で一緒のコゲパンとあだなされる女子、寺内千春も協力者となる。
1枚の写真から写っている人物を推理し、調査し、実際に会いに行って、心霊写真の謎を解く。一種のミステリーになっているようだが。なかなか面白い。写真を介して様々な人物とその思いに出会い、心霊として写真に残された意味を発見する。そうした英一の活躍と共に、彼の家族や友達、写真に関わって知り合いになる人々が生き生きと描かれていて、面白いし、興味深い。
宮部さんの小説は面白いと知りながら、なかなか読めないでいたが、こういうのは気楽に読めて、しかも後味がよいので、やはりいいなあと思ってしまう。