地方都市の寂れた商店街の復興を目指して頑張った商店街の老舗書店の娘姉妹の奮闘記とでもいえばいいか。
いまは寂れた商店街の中にある書店の娘タカ子は跡を継ぐ気もなかったので、市役所に勤めたアラサー独身。
きっかけは、地元の国立大学で講師を勤めるアラフォーの美人先生、原まゆみが、商店街のことを聞きに来た際に、商店街生まれということで、相手を勤めたことだった。都市環境デザイン学科が専門で、商店街の復興について研究していた。聞いてみると、先生は学生時代に華やかだった商店街の記憶があるというのに、学生たちは誰も商店街の存在さえ知らないという。その落差に驚いたタカ子。何とかしないと、考え始めた彼女の前に現れたのが、高校を中退して、男を追って家出した妹ショーコの予期せぬ帰還だった。しかもいまにも生まれそうな妊婦姿。
無事に生まれた娘、街子を媒介にして、途絶えていた近所付き合いも始まり、子供の頃の活気が失われた商店街の再生を目指して動き始めた姉妹と仲間たち。
最初に企画したのが人集めのための商店街のアーケードでのイベント。まゆみ先生の生徒も授業の一環として協力して、様々な苦労の結果、何とか盛大に行ったものの、結果は変わらない。
300メートルほどの商店街に昔は100軒の店が並んでいたのに、いまや1割ほどの店しか残ってなくて、あとはシャッター街。しかも東京の大学へ進学した若者は東京で就職し、家庭を持ってしまい、商店街に残るのは老人ばかり。店は自宅で家賃不要、雇うものがいないから人件費も不要、かつて溜め込んだ資金と年金があれば、暮らしにも困らない。静かにシャッターの中で暮らす老人にとっては、商店街の賑わいは騒音でしかない。
イベントだけでは集まった客は帰ってしまう。彼らが買いたい商品が、それを置く店がないと、書店街の復興は夢物語。
学生の発案で閉まった店を借りて、テナントとして若者に店を出させようと思い付いたが、商店街の地主や持ち主の賛同がなかなか得られない。家賃が高いとテナントは集まらないし、逆に安くすると周辺の地価が下がり、地主が反対する。
そんなタカ子たちの前に現れた救世主が、商店街の新しい事務局長。前の事務局長はなにもしないことに決めていたのか、テナントを申し込めば高い家賃で門前払いし、イベントにも協力せず、傍観するのみ。それが、東大出で、小さな会社を一流企業に育て上げた経歴をもち、老後のすみかとして故郷に戻った蓮沼は、還暦過ぎたばかりのロマンスグレーで、商店街の活性化にも積極的に協力してくれる。
こうして次に試みたのは、学生を商店街のいくつかの店にホームステイさせて、孤立してしまった商店街の人々の交流の糸口を作ろうとすること。場所としての商店街ではなく、関わる人々の交流を活発化させることで、商店街を盛り上げようとする試みだった。言わば商店街をシェアハウスにする計画。
それによって、商店街は発信すべきことは、店の紹介だと考えた学生は、商店街での買い物ツアーの企画を持ち出す。
その翌年タカ子ショーコの父は書店を閉めると言い出す。客の減少で商売にならないと。
ショーコが思い付いて、商店街のチラシを作ることに。店の紹介よりは、駐車場を教えるのがメインのちらし。商店街の客の大半は車移動の年寄り。彼らに知らせるための。さらに閉店した書店スペースにテナントを格安で募集。それに不動産屋から苦情が来る。商店街の1軒が格安で店を貸し出すと、周辺の家賃に影響を与えてしまう。わざわざ安く貸さなくても困らない人ばかり。
それで、結局、書店の空き家をタカ子ショーコ姉妹が店主となり、それを月替わりのテナントにすることになる。父親からの借金とクラウドファンディングで資金を集めて、マンスリーショップを開店させる。
これで商店街の復興に向けて動くかと思ったら、さにあらず。商店街の地域は再開発地域にしていされていた。商店街は壊され、新たにマンションが建設され、商店街に残っていた大部分が店を明け渡す見返りにマンションの部屋を得て、移り住んだ。
マンスリーショップは形を変えて、住人が集まれる場所として残った。
30過ぎて独身のままだと思われていたタカ子は、商店街活性化で協力してくれた学生の紹介で、その兄と知り合い、電撃結婚し、夫の赴任地である海外へ去った。そのタカ子が出産のために身重の体で、実家と言えるマンションに帰ってくる。変わり果てた故郷を思い描いていたタカ子には、いくぶん違ってはいるが、ショーコたちが寺の一角で開くこじんまりした店や、子供と老人が集える場所がある新たな故郷は、それ歩悪くないと思えた。