著者は通信社の記者として、イタリアを取材していた。もともと本好きで、各地に取材旅行に行くと、必ず書店を訪ねていた。書店がなくてもよろず屋の店で聞いて、珍しい本に出会ったこともある。そんな旅の折りに見つけた古本屋。ヴェネツィアの馴染みの古本屋が、四代目で、先祖はトスカーナ州のモンテレッジオだと聞いた。
イタリア北部の山村、モンテレッジオは、美しい自然には恵まれているが、特産品もなく、多くの村人は出稼ぎに出たり、行商をしたと聞く。そして景気が悪くなると最後に売り歩いたのが本だったと。だから村の収穫祭は本なんだと聞いて驚く。しかも売り歩いたのは古本だった。
そんな話を聞いて、著者は不思議に思う
。そんな山村がなぜ古本を売るようになったのか?
ネットで調べると村を紹介するさいとがあり、電話で問い合わせたことがきっかけで、その村を訪れ、村人や今は移住した子孫たちにも会うようになり、村の歴史を少しづつ知っていくことになる。
この本はその過程を描いたエッセイとも旅日記とも言える作品。
本の歴史のひとこまとしても、貧しい山村が生き抜くための記録としても、興味深く、読みごたえのあるものだった。