新人作家によるミステリー連作短編集。
主人公は定職をもたず、年中好きな昆虫を求めて各地を放浪している青年、えり沢。
ホームレスを追い出して治安を守った公園、そこの見廻りをしていた吉森はある夜、不審な二人の男を見つけ、公園から追い出す。翌朝、その一人が死体で見つかる。その真相を暴き出したのが、もう一人の不審な男、えり沢だった。
五編の事件が語られるが、探偵役は同じでも、舞台は様々。
最初の舞台はとある都市の公園、2作目は東北の山。ボランティアで山の整備を受け持っている団体の不審を調べていた女性に協力して、事件の真相を見抜くのは高山に棲む蝶を求めてそこを訪れていたえり沢。
3作目は地方都市の場末にあるナナフシという名前のバー。キノコ採りに来て、偶然飛び込んだえり沢は、バーの常連客の不審な行動から、殺人事件の真相を暴き出す。
えり沢が泊まった宿の主が持つ見事な昆虫標本。その制作者にまつわる昔話を聞き、彼の心中事件を聞いたえり沢は、その真相を暴き出す。
知り合いの男の墓参りにいき、殺人事件に出くわしたえり沢。教会の牧師が殺された事件に関わることになり、真犯人に気づき、自首を促す。行方不明の牧師の息子の居場所も推理して、担当の刑事に教える。
昆虫オタクで、とぼけた青年えり沢。それでいて見事な推理を駆使して、難事件を鮮やかに解き明かす。
あとがきによれば、著者が探偵のモデルにしたのは、えり沢に通じる探偵の亜愛一郎を生み出したミステリー作家泡坂妻夫自身だったとか。