久しぶりに、1冊読めた。
休みになったとはいえ、相変わらずの猛暑で、クーラーのない自室にいると、頭がボーッとして来て、本を手に取るのも億劫になる。
地方都市の駅中にある書店、金曜堂を舞台にして、本と人の関わりを描いたシリーズも、これで4冊目にして、最終回。
今回は4つの話が語られる。
金曜堂のオーナー、店長、店員の3人は地元の高校で、金曜堂という読書会を立ち上げた仲間。彼らの顧問になってくれたオットー、音羽先生が持ち込んできた悩みに3人の書店員とバイトで大学生の主人公倉井が、立ち向かう話。美人で成績も優秀な女生徒が、急に推薦入学を拒否し、留年したいと言ってきた。そのわけを話さないために、悩む音羽先生は、昔の生徒に相談する。
ここで取り上げられる本が、佐野洋子の「100万回生きたねこ」。
クリスマス直後の金曜堂にいきなり現れたのは、なんと倉井の生みの母。幼い彼を置いて出ていった母親。顔さえ覚えてなかった母の出現に驚く倉井。実は母は結婚前から小説家志望だった。子育てや家事で執筆できないのを苦にして逃げ出したらしい。そんな母親がアメリカで暮らしながら書き上げた長編小説。それを出版社社長であり、倉井の父の親友でもある、元編集者に送り、講評を頼んだと母は言う。その講評を聞く場に付き合ってほしいと頼まれた倉井。
結果は悪評だった、現実を直視できない母がもろに出ていて、小説としては売れないと。落胆する母に、初めて母のことを知った倉井は、僕が読むからまた書いてと勧める。初めてふれあった母と息子。
オーナーである、一見やくざっぽいヤスが密かに思いを寄せていた近所の女獣医佐月先生。彼女には恋人がいると思い、身を引くつもりで、何か調子がでないヤスを心配する仲間たち。その生まれから、自己卑下が強いヤスに勇気と自信を取り戻すために奮闘する仲間たち。
大学4年になり、就活に悩む倉井。父親は入院中とはいえ、全国展開の大書店の社長。普通なら、跡を継ぐところだが、バイトで入った金曜堂と仲間たちにはまってしまった倉井は、いつまでも金曜堂を離れたくない思いに苦しむ。
そんなとき、父に呼ばれて病院へいった倉井は、父の会社が目論む大書店の将来設計の一部を聞かされる。倉井が気に入ってる金曜堂は、通常の書店とは別次元の存在で、つぶれないのは奇跡的な存在だと。父の計画が進めば、金曜堂の経営も危なくなると知った倉井は決意する。様々な書店に勤めて、一人前の書店員になり、いつか、金曜堂を守る存在になりたいと。その決意を話ながら、店長の南に、自分の思いを打ち明ける倉井。南も、彼の気持ちに気づき、心も動いてる様子。