「雨にも負けず粗茶一服」「風にも負けず粗茶一服」の連作から十数年、ようやく出た第3作が本書。
東京で、弓・剣・茶の三道を伝える板東巴流という小さな流派。その家元の嫡男である高校生の友衛游馬が、家出して、京都で過ごした時期の物語が、前2作。
本書では、家出から戻った游馬が、無事に家元襲名を承知するまでが描かれている。
両親が勧める大学進学も勉強嫌いの游馬は承知せず、古参の門人で、彼の教育係だった弥一との茶の道を再開したいと戻った游馬だが、両親から言い渡されたのは、進学しないなら、就職しろと言う。小さな流派は弟子からの金では生活できない。家元も職を持ち、家族を養わないといけないと。流派は家業だが、稼業ではないのだと。それでと持ち出してきたのが父親がなりたくてなれなかった、皇宮警察官。
難関と聞いて勉強嫌いな游馬は無視。警備員のバイトで誤魔化して、流派の三道の研鑽に励むことになる。
京で知り合った女子高生佐保が、先に東京に来て、内弟子になっていた。しかし、他家の娘を預かったと、母親の目があり、恋の道も進まない。
外人の弟子がいたり、今日の宗家巴流の跡目騒動に巻き込まれる游馬の弟行馬、など、色々なことが起こり、游馬を成長させていく。
東日本大震災による屋敷の半壊などを経て、新たな家元として生きていくことを決意する游馬。