確かに、前にも読んでいる気がするが、細部はやはり覚えてなかった。
著者馴染みの海辺の町風早。そこにある老舗の百貨店六階にある書店、銀河堂書店。そこに十年勤めてきた文庫本担当の書店員月原が主人公。
万引きを働いた中学生を追いかけ、外にまで追い詰めたのがきっかけで、中学生は交通事故にあう。罪を認め、両親からの謝罪もあったことから、そこまで追い詰めた書店員月原の行為が批判の的になり、ネットで炎上。書店だけでなく、テナント親の百貨店にまで苦情の電話が殺到し、月原は店をやめた。
大学時代にバイトで入ってから書店員をしてきた、天涯孤独な彼には店は家庭であり、同僚は家族だった。他に潰しは聞かないが、彼のことを知る、別の書店が雇ってくれる見込みもなく、しばらく呆然としていた月原。
書店員の頃、ペンネームでメールのやり取りをしていた書店員の一人を思い出した月原。山の方にある、昔は外人の避暑地として流行ったこともある町にある書店。一度訪ねたいと思いながら、日々の忙しさで忘れていた。そこを訪ねようと思った月原は、親しくしていた隣人の老人から譲り受けたオウムをつれて旅に出る。車だと二時間ばかりだが、免許を持たない月原は、電車を乗り継ぎ、さらに歩かないといけない。
行ってみると、店主は入院していた。そして半月も留守にしている書店、桜風堂の世話を頼まれた月原。店には店主と同居していた小学生の孫がいる。父親が失踪し、母の再婚で義父からいじめられていた少年を引き取った祖父。本が好きで、料理もできる透と暮らし始めた月原。
月原は不幸な出来事で銀河堂書店をやめる直前、新人作家の作品に惚れ込み、書店で広く宣伝しようとしていた。宝探しの月原と業界で知られる、いい作品をいち早く発見する才能を持っていた。新人作家は、昔人気テレビドラマの脚本を書いていた人、大病を患い、それを機に小説に手を伸ばした。エッセイ風の読み物を目にして注目していた男が書いた小説と言うことで、売れる、いい作品だと確信した月原は、大々的に書店をあげて応援しようとしていた。不幸なことに、それに手をかけることなく、店を去った月原。しかし、仲間がいた、同僚たちが月原の遺志を引き継ぐことを決意する。
本を売る人、書く人、本を愛する人なら、その気持ちがダイレクトに響く作品だった。必ずしもこんなにうまくいくとは限らないが、一つのファンタジーとしてみるのもいいのか。
再読にも関わらず、再度感動して読めた。