新酔いどれ小藤次シリーズ11作。
久慈屋の主の供で、伊勢詣りを済ませた小藤次。その時知り合った抜け詣りしていた子供たちのリーダーだった三吉と再会した。酒に溺れる左官職の父親が、三吉に暴力をふるって金をとると聞いて、心配していたが、ついに借金の片で、三吉が陰間にされると聞いて、ひそかに助けだし、自分の屋敷に引き取る。
その三吉の父親が暴行を受け、殺され、久慈屋近くで発見される。三吉と久慈屋、小藤次の関係が知られているとわかり、放っておけなくなった。
三吉は父親の代わりに家族のために金を稼ぎたい、手先が器用なので、職人になりたいと言うことで、小藤次の口利きで馴染みの畳屋備前屋に、小僧奉公に出ることになる。
三吉の父親を殺した一味は、品川に最近住み着いた強葉木谷の精霊と名乗る頭をもつ一味。子供を誘拐し、寺に売る商売をしているようで、町奉行寺社奉行の管轄を跨ぐため、捜査が進んでいない。
やがて、行き先を秘密にしていた三吉がさらわれ、彼を助け出すために、小藤次親子が乗り出すことになる。それが、主な筋だが。
今回はそれに、前回から引きずる旧藩にまつわる事件が小藤次に降りかかる。小藩の参勤交代費用を得た御用商人に頼まれ、その娘を参勤行列に連れてきた旧藩の藩主。贅沢好みの娘の始末を小藤次に頼み、長崎屋に滞在させて、遊ばせることで事なきを得たのだが。その娘が、家臣の一人と逃げ出した上、その家臣が殺される事件が起きる。家臣のことは放棄する気でいた藩だが、殿様の手がついている娘が余計なことを話すと、藩の存亡にもかかわるということで、小藤次が関わることになる。その娘と逃げた家臣を惨殺した男は、小藤次らに追い詰められて、娘を殺し、小藤次の成敗になる。娘は死に、後顧の憂いはなくなったが、もともと御用商人に預かった娘、その死の模様を納得させないといけないと、小藤次がその手段を忠告する。

品川に巣くっていた妖怪とも思える女を退治したことが、将軍の耳にまで達し、小藤次親子は将軍に呼ばれ、謁見することになりそう。来月にも連続して刊行される新作、そこにその場面が描かれるのだろうか。楽しみだ。