半日かけて、ようやく読了。久々に1冊読んだ感じ。
それにしてもふしぎな話だった。
時代は19世紀末期のロンドン。明治維新から10数年のロンドン。
主人公は内務省で、電信技手を勤める孤独な青年サニエル。誕生日の夜に、下宿部屋に見覚えのない懐中時計が置かれていることに気づく。
半年後、スコットランドヤードを狙った爆破テロが起こる。たまたま向かいの酒場にいたサニエルは間一髪で命を取り止める。それは、爆破直前に懐中時計が鳴り響き、外に出たためだった。精巧なぜんまい仕掛けの時計。これは偶然なのか?あるいは時計を作ったものは爆破時間を事前に知っていたのか?それはテロリストの一味なのか?
やがて、その時計が日本人の天才時計師モウリの作だとわかる。しかも、彼は明治維新の立役者のひとつ、長州藩主の一族で、内務卿の伊藤につかえていたとわかり、迂闊に逮捕し取り調べることはできない。
時計の作者ということで面会したサニエルは、モウリに好感を抱いた。知り合いの警視に頼まれ、モウリの家に住み込み、密かに彼を調べることになった。
付き合うほどに互いに引かれ合うサニエルとモウリ。そして、サニエルはモウリが未来を見通す特別な能力はあることを知る。未来を記憶しているモウリ、一方サニエルは音を色で認識する能力を持っていた。
そんな二人に関わるのが、貴族令嬢で大学で物理学を研究していたグレイス。亡き叔母が残してくれた屋敷と金があれば、研究に没頭できると考えていた彼女は知り合ったサニエルと偽装結婚をする。しかし、3人の関係は三角関係に近いものをかもしだし、運命の歯車が動き出す。
すべてはモウリが予知に基づいて計画的に事を運んだ結果なのか?爆弾の真の犯人は誰か?3人の関係はどうなっていくのか?
先がわからず、最後まで引き込まれてしまった。
モウリが作り出すぜんまい仕掛けの動物は、現代のロボットに匹敵する動きができる。そんなことが、当時に本当にあり得たのか。

結局、グレイスはサニエルと離婚し、大学で知り合った日本人留学生と再婚し日本へ行く。サニエルはモウリの元に戻り、二人で新たな冒険をしていくシリーズになるようだ。第2作は若かりしモウリが登場する前編的なものになり、執筆中の第3作が、今作の続編になるとか。