「居眠り磐音」シリーズの新シリーズ、磐音の嫡子、空也の武者修行の旅の物語。磐音の生家、豊後関前から16歳で旅立った空也は、最初の修行地に選んだのが、他国ものをいれない薩摩。身一つで山中を経て薩摩に半死半生で入国をはたした空也。彼を助けた縁で、薩摩藩先代の重職渋谷と孫娘眉月と出会う。渋谷のお陰で薩摩にて修行ができ、若き使い手薬丸という友を得た。薩摩示現流の剣客との果たし合いで勝利を得たものの、恨みを受けて、以後その一派からの襲撃を受けるようになる。
回りのものに迷惑をかけたくないと、襲撃を避け、難を逃れる旅に入る空也。
船にて五島列島に渡った空也は、今回、さらに対馬に渡る。ひとつには、いつしか思いを抱くようになっていた眉月が、朝鮮人の血を引いていることから、朝鮮に一番近い地を踏んでみたいと願ったから。
北の岬から朝鮮を見ていた空也に話しかけたのは、対馬藩の重役。空也の正体にも気づいている。当時、長らく朝鮮使節の来日が途絶え、藩財政に行き詰まっていた対馬は、密貿易で阿片に関わろうとしていた。虫の知らせか、密かに逃げ出した空也は、長崎奉行から来た公儀密偵と知り合い、行を共にする。空也が朝鮮人の武人と戦う間に、密偵は抜け荷の証拠を得て、退散。朝鮮人の武人との間に恨みを得た空也は、糧らの追っ手まで引き連れて、単身、壱岐の島に立ち寄る。ここで、朝鮮人の武人の一人と知り合い、稽古をつけてもらう。
ついには付け狙う武人のボスをも討ち果たす空也。
空也が次に目指すは長崎になるようだ。そこには薩摩の藩邸もあり、薩摩の追っ手との始末もつくのかもしれない。

空也の武者修行の旅の間に、留守宅である磐音おこん夫婦の様子や、道場のことなど、馴染みの人々の消息もわかるようになっていて、ファンサービスに余念がない佐伯さん。ひとつ、特筆すべきは、磐音が田沼一派の追っ手から逃れて旅を続ける際に、働いた元忍者の霧子。今は磐音の弟子で、磐音の生家の藩に勤務する重冨の妻となっていた霧子が、懐妊したらしい。次回作では赤ん坊ができているかもしれない。楽しみだ。
読んだばかりだというのに、もう次回が待ち遠しい。