アイスランドの首都レイキャベックの警察官エーレンデュルを主人公にしたシリーズの第四作。
レイキャベック近郊の湖で骸骨が発見される。地震のために干上がった湖底から発見された。頭蓋骨にはマッチ箱大の陥没があり、何かで殴られて死んだと思われ、殺人事件として捜査が始まる。
骸骨は重そうな黒い箱にくくりつけられていて、それを重石にして湖底に沈められたものと思われる。
さらに、黒い箱にはロシア文字らしき痕跡があり、のちに、冷戦時代に使われたロシア製の通信機器だと判明する。
スパイが使っていたものか。
冷戦時代には、ワシントンとモスクワを結ぶ最短経路の下にあり、軍事上の重要な地点だった。第二次大戦後に独立したアイスランドは軍隊を持つことなく、NATOのオリジナルメンバーになり、国内にはアメリカ軍が駐留していた。その基地や通信を傍受するために、東からのスパイがいたと考えられる。

エーレンデュルらの捜査とともに、ある男の独白として過去の物語が綴られていく。30年前、社会主義に希望を抱く若者が、東ドイツの奨学金を受け、東ドイツのライプツッヒ大学に留学していた。
その大学生活のなかで、東ドイツの自由が抑圧された状況が描かれていく。その中で恋をし、恋人を理不尽にも奪われた男。その手先となった学生仲間と再会した男が、殺してしまったらしい。
エーレンデュルが捜査の最後に、その男のもとを訪ねた折りに、その男は拳銃自殺をして、手記を残した。それにより、事件の背景や、事件の様子が明らかになる。
冴えない中年男のエーレンデュル、相変わらず、娘に振り回され、今回は息子も登場。さらに、恋人とも思える人妻も出てくる。
捜査の中で彼が気になった些細なことを、追求し続けることで、事件そのものの解決には直結しないながらも、何らかの事柄が明らかになる。そこが彼の魅力のひとつなのかもしれない。
今回では、不審な失踪者が乗っていた車のホイールキャップのひとつが無くなっていたということに、ずっと心を悩まし、ついには、盗みの真相を知っていた老人の固い口を開けることに成功する。
失踪者が被害者だったが、彼こそがスパイだった。
殺人の直接の原因は、スパイ活動には関係のない、女をめぐるいい争いだった。

半日かけて読み終えると、やはりいいなとは思うが、平日に読むには荷が重い気もして、シリーズをさらに読むかどうか決めかねる。