ようやく最後まで読めた。やはりいい作品だ。著者の最初で最後の作品というのは惜しいね。もっと他の作品も読みたかった。
ガーンジー島というのは、フランスに近い島なんだ。だからこそ、第二次大戦でドイツ軍に占領された。
ドイツ軍に徴収されるのを免れて、密かに残した1匹のブタ。それを親しい者たちがこっそり食する宴会。その帰りに、夜間外出禁止をパトロールするドイツ兵に見つかり、仲間の一人のエリザベスがついた嘘により、見逃された。夜間仲間が集まって読書会をしていたと。
その嘘から生まれた読書会が、普段本など見ることもなかった村人たちを読書会に誘い、やがてそれを楽しむようになる。各自が読んだ本の感想を延べることから始まり、やがては、気に入った本を勧めたり、自作の作品を発表するようにもなる。文学に無縁だった人々に、文学や読書の楽しみを植え付け、仲間の親睦と団結に寄与する。

読書会の言い出しっぺのエリザベスが、ドイツ兵に働かせられていた少年を匿ったことが露見して、逮捕され、大陸の収容所へ送られたエリザベス。終戦間近に収容所内で人を助けたために銃殺された。逮捕前に、島に駐屯するドイツの将校でも心優しい青年と恋をし、女児を授かったエリザベス。青年は帰ってくることを約して、任地替えで島を去り、死んだ。エリザベスまで殺されて、残された少女キット。読書会仲間により大切に育てられた彼女は、読書会メンバーと島に魅了された作家ジュリエットの島への来訪で、新たな母親を得ることになる。
ジュリエットと無口で頼もしいドージーとの、秘めた恋の顛末はじれったいが微笑ましい。
エリザベスの死の様子を知らせてくれたフランス人女性のレミー。収容所の悲惨な状況から助け出され、意識を取り戻したとき、収容所仲間のエリザベスから聞いていたガーンジー島の読書会メンバーに当てて、思い出したくない悲惨な収容所での体験を綴った手紙を送ってくれた。行方不明だった仲間のエリザベスの消息はそれによりはじめてわかった。なんとも痛ましい話だった。
しかし、島の人々の心の暖かさは素晴らしい。小さな世界だから、自然豊かだからなのか。一人一人を見ていくと、誰も完璧ではない。どこかおかしな振る舞いがあり、それでいて、人として一番大切なものを持っているように見える。