牧師でもある博物学者サンダリー師は、世紀の発見をして有名になる。翼がある人類の化石を発見した。しかし、それが捏造だという噂が流れ、世間から好奇の目を向けられるようになり、一家は本土から逃れ、ヴェイン島へ移住する。
妻マートルの弟マイルズの勧めで、島の発掘現場の手伝いに呼ばれた。
発掘してるのは島の治安判事を勤めるアンソニー、医師のジャックラーズ、副牧師でもあるティベリウス。
噂から逃れてきた一家だったが、遅れて届いた噂で、一家は白い目で見られ、無視されるいうになる。しかも、サンダリー師が死体で見つかる。崖下の木で見つかった遺体は自殺したかに見えたが、妻マートルは色仕掛けで医師にたのみ、事故死として処理してもらおうとしたが。
早急に葬儀を行い、埋葬しようと、マートルが安息日の日曜に葬儀を行ったことから、島民の反発を招き、さらに埋葬も拒否されるキリスト者では自殺は認められず、同じ墓地には埋葬されない。
幼い頃から父の仕事に興味を覚えていた娘のフェイスは、女ながら科学者の端くれだと思っていたが、十五才となり、大人に近づいたことから、科学に首を突っ込むことから遠ざけられるようになっていた。
父の死と、埋葬拒否により、微妙になった一家の行く末。彼女は、父の死因にも疑問を持つ。事故や自殺ではなく、殺害されたのではないかと。
一体誰に、なぜ殺されたのか?
父の残した書類を密かに持ち出し、調べてみると、意外な発見がある。死の直前に、父に頼まれて、ある洞穴へ父を送っていったことがある。そのとき、父は大事にしていた鉢植えの植物を洞穴に隠した様子。
父の手帳に記された日記から、その植物の正体を知る。父が昔、アジアで手に入れた嘘の木。人の嘘を聞くことで成長し、その結果実った果実を食べると、秘密にしていることが明らかになる幻影を見ることができる。父はそのために世間を欺く壮大な嘘をついた。捏造の噂は濡れ衣ではなくて、父が自発的に捏造し、世間を欺こうとした嘘だった。
嘘の木の研究が発表されれば、今の苦境もなくなると、父は考えていたらしい。
それを使えば、父を殺した犯人を見つけることもできると思ったフェイスは、嘘の木に栄養を与えるべく、嘘を考え出す。父の幽霊がでたかのように細工して、女中を脅し、噂を広める。
何度か嘘の木の果実を食べて、幻影を見ていううちに、父の死にまつわることが次第に明らかになっていく。
優しいと思っていた叔父は、島の誰かに頼まれて、サンダリー師を島につれてきた。義兄の名声の影に埋もれている学者としての自分を島の発掘に加わって売り込もうと。
副牧師で発掘現場のカメラマンを勤めるティベリウスの息子ポールに、怪しいそぶりを疑われ、秘密に迫られたフェイスは、なぜか心引かれるポールに打ち明けて、協力を得る。
そして、真犯人は治安判事だと確信し、罠を仕掛け、その正体を暴こうとしたものの、逆に真犯人である判事の妻に捕まりかけるも、からくも逃げ出す。
そして、家政婦と郵便局長の協力で、隠された犯罪を暴くことに成功する。
一日かけてようやく読了したものの、最初に見たときに感じたように、なかなか面白かった。嘘の木の存在は非現実的でファンタジーと呼ばれるのかもしれないが、ダーウィンの種の起源が世にでた時代のイギリスのキリスト教世界と、その時代の人々を描いた小説といえる。
信仰と科学、女性と科学、女性の自立が認められてない時代、科学的な探求で謎に迫るフェイスなど、見所がある話だった。