日曜休みを使い、上下2巻の長編ミステリーを一気に読み終えた。この作家の作品は、今回で3作目。最初に読んだ「忘れられた花園」と継いで読んだ「秘密」がなかなかよかったが、今作も予想通りよかった。巻末近くになると、つい時間を忘れて読み進め、あやうく入浴時間を失念するところだった。

時代は1933年、舞台はイギリス南西部のコーンウォール地方、森の中にひっそりとたたずむエダヴェイン家の屋敷、湖畔荘で行われた年に一度のミッドサマー・パーティーのさなかに、1歳になる末っ子の男児セオドアが、育児室から消えた。早くも歩き始めていたために、最初は谷敷回りを探しただけだったが、やがて手がかりがないために、警察などを動員して、捜索が行われたが発見されず、容疑者の決めてめもなく迷宮入り。

それから70年後、ロンドンで刑事をしていたセイディは、担当する事件、子供の置き去り事件が、彼女の思惑とは違う締め切りにされるのが不満で、マスコミにネタを提供したことが問題になり、上司に謹慎を命じられた。妻をなくした祖父が移住したコーンウォールに身を寄せたセイディは、日課のランニングの歳に、荒れ果てた湖畔荘に迷い混む。屋敷に興味を覚えた彼女が調べてみて、70年前の幼児失踪事件を知り、その謎解きにのめり込んでいく。

屋敷は現在、ミステリー作家としては大家となったセオドアの姉アリスの所有になっていた。事件の記録や証言について調べるセイデイは、当時現場にいたもと刑事や幼児の子守りだった女性の遺族に会ったりして、次第に推理を繰り広げていく。

小説の構成は、刑事セイデイの行動を主軸に、過去の関係者の行動や思いを伝えるピースを繰り広げながら進む。70年前の事件当時だけではなく、それ以前の話やそれ以後の話と飛んで描かれるために、最初は戸惑ったが、登場人物が誰かがわかってくると、面白くなる。同じ事柄が視点が変わるとどう見えるのか、どれが真実なのか。

推理作家アリスは、当時気づかなかった両親の秘密を姉に聞いたことがきっかけで、封印するつもりだった過去の事件に立ち向かうことを決意し、セイデイに協力することになる。

セオドアは殺されたのか、連れ去られたのか、犯人は誰か。関係者が各自で持っていたパズルのピースが集まり、そのピースに新たな意味を見いだして、並べかえることで、事件の真相が次第に明らかになっていく。その過程が、読んでいて何とも醍醐味に思える。

事件の真相が明かになり、失踪したセオドアの行方がわかるハッピーエンドな最後も、読んでよかったと安堵感を覚える。