ようやく最後まで読めた。500ページ近い分量だから、3日かかってしまったが、とてもよかった。
地方都市の廃線間近な地方鉄道の終着駅の前にある商店街。今はシャッター通りになってしまった商店街の再生を目指して、動き出す商店街の物語。

昔は隣の町に炭鉱があり、坑夫たちの飲食と遊び場を提供して賑わった根子万知駅の商店街。炭鉱が閉鎖され、何もない町になり、若者の流失で、年よりばかりの寂れた町。客もなく、店を開けても光熱費が赤字になるため、いつかシャッターを下ろした店ばかりとなり、瀕死の商店街。
それが変わる立役者は、商店街で今もささやかに営業してるラーメン店の娘、愛美。東京での結婚生活を夫の浮気で壊れ、離婚して戻ってきた。父の国夫が一人で賄える店には不要のため、同じ商店街で今も営業してる信平の喫茶店で昼間だけバイトしている。
物語が始まるきっかけは、ノンちゃんとのちに命名した猫を引き取ったこと。人見知りをしないノンちゃんは誰にも可愛がられ、一日駅長を勤めたら、猫好きがけっこう集まった。しかし、シャッター通りと化した商店街では、帰りの電車が来るまでの間が持たず、リピーターもいない状況だった。
駅名もねこ町と呼べなくもない。猫の人気をきっかけに、町起こしができないかと考え始めた愛美。
喫茶店主の信平や、駅の売店で働く惠子の甥で、プロのカメラマンの慎一が、愛美に協力を申し出る。そして動き出した商店街再生の運動。
商店街に人を集めるために、シャッター通りで、文化祭のような催しをすることを思い付く。予算はないから、手作りに近いものしかできない。応募者を募って、紙芝居大会を開く。信平の幼馴染みで、隣町の美術学校の講師をしている女性からの申し出で、シャッターに学生たちが絵を描く。その過程を映像にとり、学校のプロモーションビデオにする。
最初の計画はその二つだった。
シャッターを下ろしていても、二階で暮らしている店主たちは、静かな生活を壊されるのが嫌で、最初は反対意見が多数派だった。
信平が東京にいた頃に知り合った、中堅女優佐和子が、協力を申し出るとともに、彼女も一人芝居を演じたいと言い出す。さらに、ねこ町を舞台にした自主製作の映画もとりたいと言ってくる。
ノンちゃんを最初に町に持ち込んだ老人の不審な行動をきっかけに、山の方にある村の存在が知られ、そこに住む国夫の同級生で、当時いじめを受けていた河井が登場。最初は町と関わりを持つことに消極的だったが、愛美のがんばりで、彼をもプロジェクトに引っ張りこむことになる。三流大学で教授をしていて、定年退職した彼は、電気もないが自然が豊かな山村の暮らしを楽しんでいた。
ささやか愛美たちのプロジェクトは、町民や鉄道会社の協力を得ることにより、次第に賑やかな催しに発展していく。最初は批判的だった商店街の人々も、愛美の熱意と頑張りに引き込まれ、積極的に参加していく。
かつてのにぎやかさを記憶に持つものの、消えかけた商人魂や町民の自覚を目覚めさせていくプロジェクト。
小中学校の生徒や町民の参加やボランティアにより、プロジェクトは盛況なものとなり、成功する。その成功により、諦めていた未来を再び考え始めていく商店主たち。