江戸は根津にある貧乏長屋、差配の名をとって、磯兵衛長屋と呼ばれていたが、今は鯖縞の猫、サバが牛耳るようになって、サバ長屋と呼ばれている。
その主だか子分だかわからない絵師の拾楽は、サバに頭が上がらない情けない風貌だが、実はもと義賊黒ひょっとこ。前作のある事件で、長屋の住人二人には正体がばれたものの、今は落ち着いている。
第二巻のテーマは、その昔の稼業は原因で、拾楽の身に降りかかる事件が描かれる。金持ちから盗んだ金を、貧乏人にほどこした黒ひょっとこだが、相手の暮らしに合わせて、余分な金を施さない気配りもしていた。持ちなれぬ金は身を滅ぼすこともある。
そんな黒ひょっとこも最初はそこまで考えていなかった、そのために、ばくち好きな父の身を滅ぼし、家族を失い、苦労して成長した、ある男が、黒ひょっとこに異種返ししようと、拾楽の回りで事件を起こし、黒ひょっとこの偽物まで出してくる。
長屋の迷惑にならぬようにと、長屋を出ることも考えた拾楽は、たぶん一緒について来るサバの代わりにしようと、子猫を長屋につれてくる。運よく事件も騒ぎも片付いた長屋に、サクラと名付けられた子猫が増えた。
サバが怖いと入居したばかりの住人が出ていったことがきっかけで、長屋の地主が、長屋を取り壊すと言い出し、サバの指図で、もと女形のうちわ売りが増える。長屋を買い取った人助けが好きな大商人。彼こそが、黒ひょっとこに恨みを持ち、いくらかの事件の黒幕だった。事件解決と共に中に浮いた長屋。もと長屋の住人で、拾楽が絵師に化けて長屋で待ち受けていた、お智が、長屋を買い取り、新たな地主となる。

第三巻では、長屋に新たな騒ぎが舞い込む。拾楽を慕う店子のおはまに、サバが牙を向くことから始まる騒ぎとは。
奉公をいくつか掛け持ちしているおはま
が帰ったときに、何かがとりついていたらしい。サバにより追い払われた、その謎を調べ始めた拾楽。
嫁入り先に持っていった亡き妹の形見の文箱が自然に実家に戻る出戻り文箱の謎。調べていく過程で、嫁入り先の夫である若旦那の奇癖が浮かび上がってくる。弱いものをいたぶったりすることに、快感を覚える若旦那。寺社奉行までを後ろ楯に、事件を揉み消す若旦那が、なんとおはまに目をつけ、嫁にほしいといってくる。見かけは玉の輿だが、どうやっておはまを助けたらいいのか。
拾楽の正体を知る北町同心や、その上役で、今は深川に隠居する臨時廻同心らの協力を得て、若旦那の悪事を世間に知らせて成敗するサバの活躍。
何とも楽しい住人たち。
さらなるサバと拾楽たちの活躍を見たいものだ。