前作のサブタイトルは、<少女が見た素顔の画家たち>、だったが、今回は<リディアとトラの謎>。
前回の冒険から無事に帰ってきたものの、奇想天外な時間旅行の話を、リディアの回りのものは誰も信じてくれず、いつしか一人で過ごすことが多くなったリディア。十三才になった彼女が、またも祖父につれられて、世界的に有名なマジシャンのショーに連れていってもらう。
その前から奇妙なメールが届いていた。新しい冒険の旅にでないか?
彼女自身はそんな気はなく、私に構わないで、と返した。

檻のなかにいる2頭のトラ、それを一瞬で消し、さらにもとに戻すトラのマジック。そのはずだったが、1頭のトラだけが、なぜか戻らない。
しかも、リディアの祖父の姿も消えてしまう。そして、祖父を誘拐した犯人からのメール。一人で指定の場所に来いというメールを両親にも黙って実行した。
会った犯人はなんと、あの鳥少年。再び過去の世界へ行き、無名時代のゴッホの絵を安い金額で手に入れてこいと要求される。その絵で大もうけするのが彼の狙いらしい。祖父はその絵と引き換えに還すという。
仕方なく承知したリディアが渡されたのは、黒いブレスレット。そこに年代を打ち込み、7回タップすれば、その世界へ行けるという。
こうして、二度目の冒険に旅立つリディア。無事に、ゴッホのもとに行き着いた彼女は、指定された4枚の絵を、ゴッホの留守中に、代金を置いて持ち去り、もとの世界へ戻るはずだったが。なぜか、自宅付近には戻ったが、いまだ自宅ができていない過去だった。近くの木の上部のほろに絵を描くし、身近に現れたトラから逃れようと、信頼できないと思いながらも、操作したブレスレット。
ついで、リディアがたどり着いたのは、なんと、仮想の小説ロビンソン・クルーソーが暮らす世界。
さらに飛び込んだのは、フリーダ・カーロという有名な女流画家がいる世界。そして次に飛び込んだのは小布施に滞在している葛飾北斎の世界。北斎の帰京とともに、江戸に行くリディア。

ゴッホの絵がきえたというニュースから、いつまでたっても帰らないリディア。人質の祖父を見殺しにする彼女ではない。ブレスレットの操作ミスか、あるいは故障か。我慢できなくなったマジシャン、ホフマンは同じブレスレットの試作品を使い、リディアのあとを追いかけてくる。さらに、ショーから消えたトラもリディアをつけ回すように、同じ世界へ飛んでくる。

北斎の江戸からリディアが迷いこんだのは、バチカンで絵を描くミケランジェロのいる世界。
そして、次に舞い降りたのが、アメリカの大学でのパーティに向かうアインシュタインの車のなか。一緒にパーティーに出た彼女は、子供ばかりのテーブルに回されたが、そこにいたのは天才児ばかりの席。
何とかもとの世界に戻り、祖父を取り返したいリディアが思い付いたのは、タイムマシンであるブレスレットの修理。天才科学者のアインシュタインならできるかもしれない。屋敷を訪問し、かのじょのけいけんを打ち明ける。現実だとは思えないが、嘘だとも思わないというアインシュタイン。しかし、発想は天才でも、技術的なことは不得手。幸いなことに、アインシュタインのそばにいた天才少女、13才で大学の数学教授という、
アナベルにより、不具合な部分が見つかり、修理される。
一か八か、ブレスレットを操作するリディア。祖父を取り戻すにはゴッホの絵が必要と、百年前の自宅にとんだ彼女は、絵を手中にしたところを、追いかけてきたマジシャン、ホフマンが襲うも、その地で前回に知り合った少女の助けで難を逃れ、ホフマンが持つブレスレットを少女ソーニャにつけることで、一緒にもとの世界へ戻る。

ところが、リディアが飛び出したのは深夜のイケヤ。トラまで現れて、ピンチだと思ったら、ネコのようにすりよってくる。彼女は気に入られたらしい。さらに、トラにも同じブレスレットがついていたことで、同じ世界で遭遇した訳もわかる。後にわかったのは、トラを乱暴に扱うホフマンから逃がそうと、飼育係りの女性がつけた。
一緒に飛び立ったソーニャはリディアの自宅前にいた。監禁場所から無事に逃げ出した祖父は、飼育係りのナターシャの協力で、鳥少年を逆に部屋に監禁して、警察に逮捕させた。
祖父の考えで、時間旅行の話は記憶喪失といって、誰にも話さなかった二人の少女。彼女たちは一緒に生活することになる。百年後の未来世界で暮らすことになったソーニャは何かと苦労だが、まだ若いから慣れていくだろう。
ゴッホの絵はトラの始末がついたイケヤで発見され、もとに戻された。トラもナターシャとイギリスでショーをすることになる。百年前に置き去りにされたホフマンがどんな生涯を送ったのか。