久しぶりに、楽しく読めた。
どちらかといえば、私は猫よりは犬の方が好き。そんなつまらない思いから、猫が差廃する長屋なんて、あまり読みたくないなと敬遠していたが。
読み終えてみると、いいね、続編も読んでみたくなった。

深川にある、通称鯖猫長屋。鯖縞の雄の三毛猫、長屋にすみ猫の絵ばかりを描いてる売れない絵師拾楽が飼う猫。ある日出掛けようとする長屋の住人の夫婦を引き留めるように入り口に立ちはだかった猫。おかげで、永代橋崩落事故を免れた。以後、長屋中で大切にされ、その分、大きな顔をしている猫。長屋のちょっとしたいさかいや騒ぎなどたちまちに治めてしまう貫禄のある猫サバ。

そんな長屋に新入りの若い女性お智が越してきた。しかもちょっとした騒ぎをもって。左官屋の娘と恋仲だった若い弟子が、お智に目移りしたため、逃げてきた。その騒ぎはどうにか片付いたが、まだ何か秘密がありそう。事故死したと言われていた両親が、行き倒れの男を助けたことがきっかけで、殺されたと藤沢の旅籠の跡取りである弟夫婦に最近になって聞かされた姉娘のお智は、敵討ちのために江戸へ。問題の男が三毛猫と暮らしていた長屋に住み込んだとわかる。
絵師の拾楽は、かつては一人働きの義賊だった。弟分の以吉が死ぬ間際に伝えたことを果たすために、絵師として、以吉の住まいの後がまになっていた。以吉は、盗賊一味の引き込みとして、大きな商家に入っていて、店の秘密文書を見つけてしまった。幕府役人との賄賂にかかわるもの。店の若旦那が気に入っていた以吉は、店のためにその文書もって逃げ出して、隠した。その後仲間に見つかり殺されたらしい。その際に巻き添えで殺されたのが、お智の両親。いつか、その家族が以吉のもとへ来るかもしれない。そしたら、代わりに謝ってほしいと、拾楽はたのまれて長屋に住みはじめた。

お智の実家での知り合いだったという三次という男が出入りしたり、拾楽の昔の正体に気づいている、町奉行同心が近づいてきたり、売れっ子作家が幽霊に怯える話や、飼い主の敵を討とうとした飼い犬の話をはさみながらも、お智や拾楽に近づいてくる、怪しげな連中。
ついに、拾楽に心を寄せる長屋の娘がかどわかされ、拾楽が隠し持つ文書と引き換えるという書き付けが舞い込み、拾楽は覚悟を決めて、黒幕である盗賊の首領のもとに行く。
なんと、それは新入りの長屋の住人である浪人だった。しかも、役者顔負けの町方同心が変装して、仲間に入っていた。

以吉が盗み出したものの正体を知らずに探していた盗賊のかしら。実は収賄側の役人は別の罪ですでに刑死していた。敵の張本人はすでになかった。

役者顔負けの同心は、侍としては役に立たず、盗賊のかしらと一騎討ちを覚悟し、封印していた短刀を使おうとしたときに現れたのは、心配して駆けつけてくれた長屋の住人たち。多勢に無勢、と盗賊の頭もあきらめ、捕まる。
すでに敵はいないと知ったお智だが、国に帰らず、実家が兼業していた饅頭屋の江戸出店を任されることになる。
こうして、長屋の連中と拾楽、お智等のメンバーと鯖猫のサバとの日々が続くことになる。今度はどんな騒動が長屋に持ち込まれるのか?絵師に心を寄せる娘の気持ちは叶うのか?
続編が、第三巻まであるのは知っているが、早く読んでみたい。