吉原裏同心シリーズの続編シリーズの第3作の最新刊。
やはり一気に読んでしまい、さみしい。もう次の展開が待ち遠しい。

もと薄墨太夫だった麻を吉原から落籍させて、自由の身にしてやった旦那であった札差し先代の伊勢亀、その死後に持ち上がったのが、札差し筆頭行司をめぐる騒ぎ。先代の遺言を守る当代の伊勢亀に、筆頭就任を勧める名無しの文が届き、不審を感じた当代は、裏同心の幹次郎に相談を持ちかける。
亡き先代に麻の身柄と伊勢亀の相談役を依頼された幹次郎は、調べ始める。

一方、かつて殺人までおかして吉原を抜け出した姉を持つ、もと薄墨太夫の禿だった遊女桜季は、姉同様吉原を抜けようとして、幹次郎に阻まれた。普通なら格下のよその女郎脂うられるところを、幹二朗の思い付きで、吉原の吹き溜まりである西見世の女郎のもとに預けた。吉原のいいところしか知らない桜季に、影の世界や、吉原を陰で支える人々を知らせ、彼女の更正を願っての処置だった。最初は嫌々だった彼女が、次第に幹二朗の気持ちを受け入れ、更正していく過程が今回は描かれていく。

筆頭札差し行司をめぐる騒ぎの陰で、将来への楔を打とうと画策する黒幕が居た。彼は、邪魔な幹二朗を追い払うために、桜季を吉原から連れ去ろうと言う陰謀を仕掛けてくる。

否応なく、二つの騒動に関わっていく幹次郎は、黒幕の正体がわかったとき、密かに天誅の刃をはしらせて、騒動を納める。

二つの騒ぎの背景では、幹二朗の住まいに同居していた麻が、内庭にこしらえようとしていた離れが無事に完成し、ラストでは、亡き先代の伊勢亀供養と、離れ完成のひろめのささやかな茶席が描かれる。

心を更正しかけた桜季が、元の店に戻り、太夫となるのはいつのことか。
離れ家に住まいを移した麻は、これから何をしていくのだろうか。幹二朗の妻女汀女のように歌人になるのか、絵の道に進むのか。今なら茶道とか華道という女性が身をたてる道があるが、江戸時代までは、それらは男のするものだと知った。だからそれはありえない。太夫としての教養からできることだと、歌か絵くらいしかないのではないのか。料理など得手ではないだろう。
佐伯さんが麻の身の振りをどうするもか、楽しみでもある。