久しぶりにわくわくできる作品に出会った。しかも児童文学に近いジャンルで。
祖父と母親と暮らす十三才の少女セオが主人公。母は昔天才と言われたものの、今も難しい数学の問題を解くことに、専念するだけの存在で、家事も何もできない。唯一うまい紅茶を飲むことだけを楽しみにしてる。
画家でもある祖父は、生活のために美術館の警備員をしていた。幼い頃から祖父に連れられ、美術館を幾つも訪れ、世界の名画を見、鑑賞してきたセオは美術通の少女だった。
何世代も前の先祖が建てた2軒の隣り合わせの屋敷。片方は今は貸家になり、フランス人の女性が紅茶を扱っている。母が好きな紅茶を揃えてくれるのはありはたいが、金が払えない。
祖父の交通事故による死で、収入がないセオは困る。
いまわのきわに祖父が伝えた言葉を頼りに、探索を始めるセオの冒険を描いた作品。
家族が大事にしていた炉棚の上に飾られた一枚の抽象画。その下に毎日、裏庭で飼うにわとりの卵を一個飾るのが習慣だった。祖父の遺言は、卵の下を探せ、というもの。何も見つからず、代わりに絵を調べ始めたセオは、誤ってアルコールをかけたことがきっかけで、抽象画の下に、別の絵があることに気づく。
聖母像のような古い絵。その秘密を調べ始めたセオは、町でセレブの少女と出会い、一緒に探索をすることになる。
有名俳優を両親にもつボーディーは、学校にはいかず、ネットで自宅で勉強していた。カードで決済する金を持ち、ネットで何でも調べる彼女と、美術には詳しいセオの二人の少女は、ラファエロの未知の作品と思われる絵の探索にのめりこんでいく。
戦争にいったことがあるとは聞いてなかった祖父に、死亡を確認したから、以降年金は払わないとの通知が来て、セオは祖父の過去にも興味を示す。
絵に添えられたラテン語を知るために、通ったことがある教会の聖職者に聞いたり、その知り合いの骨董業者を訪ねたり、図書館で調べるセオ。親切な司書の助けで、調査は進展し、やがて思ってもいなかった戦時中の美術に関わる秘密を探り当てることになる。
祖父の上司だった美術館の男が、絵のことに気付き、引き渡しを要求してくる。その手から隠そうと、セオは建設当初にはあった隣家とを結ぶドアをあけて、絵を隣家のクローゼットに隠す。
その絵が隣家の女性に発見された時に、奇跡は起こる。
アウシュビッツで死んだ、その絵の持ち主が娘の命を救うために利用したラファエロの個人的な思いがこもった絵。巡りめぐって出会う奇跡。