昨夜、深夜までかかって読み終える。
舞台は明治初期の東京。征韓論で西郷隆盛らが下野した直後。
主人公は幕末に旗本から町奉行所与力の家に養子に入った男。秋庭圭次郎。最年少の与力でありながら、悪党には鬼与力として恐れられた。
明治維新で、仲間の多くは横滑りして、新政府の治安を預かる役所に入ったが、彼は意気がって市井に埋もれるつもりが、身を持ち崩した。
そんな彼が今は司法省警保寮少警部になった、かつての部下の同心だった片山に会い、協力を頼まれるが拒否。ために、片山は殺され、敵討ちのために、彼が抱える事件解決のために、働いた。その際に、協力を要請したのが、かつての岡っ引き銀造だった。娘の光が始めた牛肉弁当で繁盛する店に居候したのがきっかけで、ゆくゆくは婿養子になるようだ。
そんな圭次郎に、山岡鉄舟から、ある探索を頼まれる。それが今作の骨子。
旧幕時代、槍術の師だった高橋泥舟と行を共にした彼は、山岡とも昵懇だった。今は宮内省の侍従を勤める山岡だが、他の省庁からあれこれ頼まれていた。
西洋諸国に並ぼうと、公園作りを始めた新政府だが、用地獲得のために、旧幕大名の屋敷を得ようとして苦慮していた。その協力を頼まれたまま山岡が、上野のもと岡っ引き万吉を手先にしていた。その万吉が、毒殺され、吉原で桶伏せの仕置き状態で見つかった。吉原の初期にあった仕置きで、金が払えない客を巨大な桶を伏せたなかに閉じ込めた。
その二週間前には万吉の手下が不忍池で溺死していた。二つには関連があるのではないかとにらんだ山岡は圭次郎にその探索を命ずる。
前回は今の警視庁にあたる警保寮の協力が得られたが、今回は彼らの動きに不審があり、協力を頼めない。
旧幕時代の知り合いで、新政府に勤めるものの縁故を頼りに、孤軍奮闘する、もと鬼与力の活躍を描いた作品。
犯罪の陰にいるのはやはり、利権に群がる維新の志士たち。それを利用して、自裁した妻の敵討ちをしようとした男の企みがあった。
タイトルからすると、シリーズものなのか。やがて警保寮が警視庁となり、圭次郎もそこへ行くのだろうか。
続編があれば読んでみたい。