著者のあとがきによれば、京の真夏の風物詩、五山の送り火の一つに、船形がある。一般には精霊船をかたどったものと言われている。著者は大学時代に講義の余談として、日本史の師である林屋氏が、江戸幕府が強行した鎖国政策に対する町衆の抗議として、朱印船をかたどったものではないかと述べて、著者は目から鱗が落ちた気がしたという。以来、京の町衆に関心を寄せる。町衆は単なる町人ではなく、京においてのみ存在した反骨精神に富む中産ブルジョワの人々をさす。
その町衆の中心的な存在であった本阿弥光悦は
、大阪夏の陣の直後に、家康から洛北鷹ヶ峰に十万坪の土地を拝領し、一族と仲間を引き連れて移住。以後、4代将軍の時代まで66年間、本阿弥家を中心とした芸術村が存在した。租税も身分差別もない夢の独立国ともいえるものだった。
家康の死後、次第に目障りとなる光悦村をなんとか潰そうと画策する幕府と、町衆と朝廷の暗闘が、この大作の骨子となる。幕府の意を受けて活動するのが、江戸柳生の面々であり、町衆を助けるのが、尊皇の志が深い尾張藩と尾張柳生。その典型が十兵衛と連也。
著者は幕府と町衆の暗闘に加えて、徳川家において、忌み嫌われた朝廷の血というテーマを加味することにした。公家や朝廷から正妻を迎えた将軍だが、その子は一人も成人していない。跡継ぎは最後の将軍以外、すべて側室の腹。そこには幼いうちに密かに死なせるという暗黙の決め事があったかのようにも見える。
私が読んだ下巻は、十兵衛と連也の対決を中心に、3代将軍の時代の暗闘を描き、ついに幕府の策謀を一時的にしろ止めたようだ。
なかなか面白かったし、興味深い。
これを借りた県立図書館には、なぜか上巻が所蔵されてなかったが、市立で検索すると、上下ともに本館にあるとわかった。それでさっそく上巻を予約した。さらに、これは三部作の結末編で、この物語に先立つ時代を描いた作品が2作あるとわかり、読んでみたくなる。ひとまず1冊だけ一緒に予約した。
その町衆の中心的な存在であった本阿弥光悦は
、大阪夏の陣の直後に、家康から洛北鷹ヶ峰に十万坪の土地を拝領し、一族と仲間を引き連れて移住。以後、4代将軍の時代まで66年間、本阿弥家を中心とした芸術村が存在した。租税も身分差別もない夢の独立国ともいえるものだった。
家康の死後、次第に目障りとなる光悦村をなんとか潰そうと画策する幕府と、町衆と朝廷の暗闘が、この大作の骨子となる。幕府の意を受けて活動するのが、江戸柳生の面々であり、町衆を助けるのが、尊皇の志が深い尾張藩と尾張柳生。その典型が十兵衛と連也。
著者は幕府と町衆の暗闘に加えて、徳川家において、忌み嫌われた朝廷の血というテーマを加味することにした。公家や朝廷から正妻を迎えた将軍だが、その子は一人も成人していない。跡継ぎは最後の将軍以外、すべて側室の腹。そこには幼いうちに密かに死なせるという暗黙の決め事があったかのようにも見える。
私が読んだ下巻は、十兵衛と連也の対決を中心に、3代将軍の時代の暗闘を描き、ついに幕府の策謀を一時的にしろ止めたようだ。
なかなか面白かったし、興味深い。
これを借りた県立図書館には、なぜか上巻が所蔵されてなかったが、市立で検索すると、上下ともに本館にあるとわかった。それでさっそく上巻を予約した。さらに、これは三部作の結末編で、この物語に先立つ時代を描いた作品が2作あるとわかり、読んでみたくなる。ひとまず1冊だけ一緒に予約した。