為吉は商家の跡取り息子だったが、5歳の時に盗賊に襲われ、一家皆殺しとなる。母親の機転で、押し入れに隠された彼だけが生き残った。天涯孤独になった彼を引き取ったのは叔母さん。親身に彼を育ててくれた優しい人だったが、亭主の義助は江戸橋界隈を縄張りにする岡っ引きだが、実入りが少なく、貧乏な暮らしだった。そのせいか義助は為吉に冷たく、叔母に乱暴を働くこともあり、幸せな日々ではなかった。長じた為吉が義助に反抗するようになり、12歳で奉公に出された。奉公先で喧嘩沙汰を起こし、北町奉行所定回り同心の坪内の取り調べを受けた為吉。為吉の生家の事件に関わっていた坪内は、同情し、彼を引き取ってくれた。部長所の中間としてはたらきはじめた為吉。

そんな為吉を中心に北町奉行所に起こることを描いた連作。最初の篇では、為吉の生い立ちと、青蜥蜴と呼ばれる盗賊の事件が。
第2篇は、少し愚図なため、常日頃、頭を使えと言われ続けて、トラウマになっていた男が引き起こした事件を。為吉も少し関わる。
第3篇は、新たに見習いになった上回り同心の息子を描いている。
第4篇は、与力の妻の目を通して、冤罪かと思われた事件を描く。
第5編は、同心坪内の十手を預かる岡っ引きの田蔵の商家の娘のかどわかし事件を描く。下手人逮捕に関わった為吉。
第6篇では、為吉は田蔵の娘婿となり、下っ引きと事件に関わる。

なかなかよかった。やはり、人情ものは宇江佐さんはうまいな。しばらく彼女の作を読むことになるかも。デビュー作で、シリーズになった髪結い伊佐次シリーズにも興味はあるのだが、結構多作で、当分無理かな。