森沢さんの作品はやはりいいな、読後心がほっこりする。

主人公は零細旅行会社の添乗員、天草龍太郎37歳。彼の企画した失恋バスツアーにより、会社の危機を食い止めたヒットツアー。社長に期待される彼を妬む上司により、今回選ばれた参加者は年齢も雰囲気もまちまちなヤバいメンバー。
しかも同乗する心理カウンセラーの小雪とは三日前に失恋したばかりの龍太郎。
失恋者を悲しみのそこまで追いこんで、逆転して、新たな生き方に向かわせるツアー。だから訪れる場所は寂しい公園や廃棄された遊園地や、寂れた山の宿や海辺の宿泊所。
最初はヤバいと思った参加者も次第に打ち解け、根は悪人ではないとわかる。
猪に襲われたり、暴走族に付きまとわれたり、事件も起こるが、それがかえって参加者を結び付ける。
やがて龍太郎と小雪の関係もばれ、しかも小雪が妊娠していることや、ふたりがいまだに好きあっていると知ると、二人の仲の修復に乗り出す。
倒産と思われた会社も、ツアーに参加して龍太郎を観察していた中国人が買収することで、ツアーの存続も確保されて終わる。
誰もが持つ不幸があるからこそ、幸福のありがたさと人生の価値がわかる。不幸もなくてはならない存在だと。