善人長屋シリーズ。
長屋の差配の娘のお縫、彼女の家族のことが今回明らかになる。
さいしょの編で登場するのは、縫の5サイ年上の兄、倫之助。本来ならあととりなのだが、商家の跡取り娘に見初められ、入り婿となる。裏家業をもつ両親は息子とは普段行き来せず、年に二度くらい会うだけ。その息子が訪ねてきて、相談事。舅が昨年亡くなったが、その妻で還暦間近な姑が、いきなり若い男と知り合い、家にいれたいと言い出す。その男の正体を調べてほしいと。長屋のものに調べさせると、泥つき大根のような男はたいして問題はないが、悪い盗賊と知り合いで、しかも倫之助の店を狙っている様子。どうするか?
長屋の住人の安太郎はすり。彼が昔憧れていたすりには、弥生鳶という妙技があった。最近表稼業中の彼の近くで、似た技のすりが出没。名すりが落ちぶれたのか、偽物か?調べる長屋の連中。
親知らずの歯痛に難渋するお縫。ために日頃の勘働きが鈍り、善人加助がつれてきた男が質屋で盗みを働き、困ったことに。
体罰でも受けたかのような傷のある男児を預かり、難儀する長屋の連中。父親に問いただして知った真実は?
縫の10歳年上の姉、お佳代は、両親の。の裏稼業を嫌い、嫁に行って以来、10年家に寄り付かない。その婿から無心を受け、縫が行ってみると、怪我をして働けないために、姉があくらつな後家の高利貸しに金を借りたという。心配な両親は長屋の連中と調べる。
兄弟で美人局をする唐吉と文吉。普段は隠し事をしない兄が最近密かに外出する。跡をつけた文吉たちっが知った真実とは?
加助が広ってきった男は怪我をそのままに長旅をしたため、加助に看取られて亡くなる。兄という男が現れて礼をいったのだが、のちに再び現れて、物騒なことになる。彼らは上方の盗賊で、昔江戸に隠した金を取りに来たという。しかし、隠し場所にはない。亡くなった弟に隠し場所を聞き、よこどりしたのではないかと言い出す。しかも縫い糸母親の俊を人質にする。三日のうちに金をもってこいという盗賊のために、長屋の連中と縫の父は出掛ける。
盗賊の下っぱにいたずらされそうになった縫。そんな縫に何があっても真ではいけないという母親の俊。
彼女の昔のことを話してくれる。水茶屋で看板娘だった俊は、純情な若侍を騙したために、その朋輩たちに乱暴された。それが世間に広まり、片見の狭い身になったが、生きていたからこそ、父にも出会い、子供も得たと。
長女の姉は、両親ににてないことと、答辞のことを人に聞かされて、その時の子ではないかと疑い、家を出ることを願っていた。だから音信もないし、母も叱れないと。
縫は、気持ちを変えて、自分で金のありかを探ろうと、盗賊に詳しいいきさつを聞いたり、亡くなった男が残した辞世の歌から、金の行方を推理する。奇しくも現場で父たちに出会う。同じ結論に達した。洪水で流された金は、流された地蔵堂の再建に使われてしまったようだ。
納得した盗賊たちは引き上げる。