高瀬川シリーズ第四作。
今回新たに登場する人物は、藤蔵。高瀬船の船頭弥助の住む裏長屋の隣に越してきた男。五人の子をもつ弥助だが、腕白な二人の男児に、読み書きを教えてくれる藤蔵に感謝する弥助が彼を、宗因の居酒屋へ連れてくる。
長屋では商家に勤めていたと称する藤蔵だが、宗因は元武士だと見抜く。掌に剣術家がもつ、くちなわと呼ばれるたこがあるのを見たから。
しかし敵持ちでも敵でもない様子と見てとった宗因は、彼を高瀬船の引き手に推挙する。

過去は語らず、陰をもちながらも、船頭や引き人足にもなじみ、とけ込んでいく。そして、宗因が関わる事件などに協力して、働くようになる。
会所の隠し目付ではないかと噂されたり、悪党に名乗ったりする。
やがて彼が丹波篠山藩の重役の弟でありながら、百姓の娘と所帯を持ちたいと言い出し、兄や兄嫁、甥ともめて、出奔したのだとわかる。最後の編では、跡取りの甥が急死、兄も危篤のため、弟である統三に跡を継がせるために、藩士が訪れる。

見事な手裏剣うちを見せて、周囲をオドロカセル藤蔵、京では剣を抜くことが禁止されている
。あわやの喧嘩騒ぎを納めて感謝される藤蔵。

宗因の居酒屋店に追われたかのように現れた母子。置いてかれた娘の世話をする藤蔵。

宗因の娘が嫁いだ旅籠屋柏屋のなじみ客、大垣の商家の主の不審に気がつく若女将お鶴。宗因に協力する藤蔵。

もと女船頭で身を持ち崩したお妙。彼女が最近連れている少女を調べる宗因と藤蔵。

島帰りで江戸からやってきた平次。彼の悩みにつきそう宗因の情け。

喧嘩の仲裁で仕官をもうしこまれた藤蔵が漏れ聞いた駆け落ちの話。調べてみると、いくつもの裏がある。宗因と藤蔵の活躍。