米村さんと言えば、ユーモア時代小説の作家さん。読みやすそうなのと、源内にひかれて、借りたが、結構面白かった。

巻頭に十代将軍徳川家治の世継ぎ、家基が鷹狩りの帰りの駕籠のなかで、奇妙なからくりで殺される場面が描かれる。首筋にエレキが流れて、電気ショックで、心臓麻痺を起こしたという設定らしい。
ついで、源内が捨てた妻子が登場した。母親が病死したところに来た源内が、残った娘に銀製のくしと蛙の根付けを置いていく。
さらに源内と一時は親友だった幕臣太田直次郎、狂歌師四方赤良が源内が人に斬りつけて、役人に捕まったときいて、知り合いの医者杉田玄白を訪れる場面が。ついで、牢内の源内を助けようと、直次郎が老中田沼の屋敷にいるところで、源内病死の知らせが入る。
その夜、直次郎の屋敷に怪しいやからが押し入り、源内の秘宝のありかを知らないかと尋問される。源内の住み屋も荒らされていた。直次郎は源内が秘宝を預けそうなものがないかと、問い詰められ、密かに世話をしていた娘のことを白状してしまう。
ここまでがいわば発端。
母の死後、伯父さんの軽業一座に加わった源内の娘、つばめが3年ぶりに上方から戻り、水芸の大夫として、田沼がつくった中洲新地に小屋を出す。客寄せのために、源内をの娘と書かれた幟まで立っている。
そのつばめが怪しい武士にさらわれるところから本編が始まる。一座に京で加わった剣に達者な千草により、逃げ出したものの、千草の背後にも謎の一味がいると知ったつばめは、一度は逃れたが、行くところがないため、千草のもとに。
千草は将軍の正室となった公家の姫様の護衛だった。その死後は、養子となった家基をひそかに見守っていた。その家基の死により、暗殺の首謀者を探していた。
直次郎やつばめを襲い、牢内の源内を死なせた首謀者はどうやら御三卿一橋の治済。田沼と共謀して将軍世継ぎを暗殺した。そのからくりをつくったのが源内で、証拠をどこかに隠したらしい。秘宝とはそれではないか。
さらにいまや治済とは利害が合わない田沼も秘宝を狙い、無役の幕臣直次郎を味方にしている。
母親が死んだとき、源内が娘に残した銀のくしこそ秘宝への鍵だと気づいたつばめは、くしに書かれたオランダ文字から場所を知り、さらに洞穴の蔵をくしを鍵にして開く。そこに襲いかかった治済の手の者。源内が仕掛けた罠により、失敗。
命からがら逃げ出したつばめが企てた復讐は、芸人仲間により治済を密かに連れ出し、エレキで半ば痴人にすることだった。放置した田沼は政争に破れ、野に下る。