豊島屋十代目の婚礼もすみ、花嫁の実家である京都での披露宴に出席するために、金座裏の宗五郎が船で旅に出た留守を預かる政次。
今回の作品のテーマは三つ。
一つは、宗五郎たち一行の旅の様子。船で東海道を西にむかった一行は、船なら伊勢参宮も可能と知り、伊勢に途中下船。さらに大阪見物も済ませて、京都へ。江戸に向けて旅立つところまで。

二つ目のテーマは、政次、彦四郎と同じ長屋で生まれた金座裏の手先、亮吉。いまだ所帯ももたず、金座裏の飼い猫が神隠しにあうと、御用をないがしろにして、政次に叱られる。宗五郎がいないぶん、金座裏では先輩の亮吉が政次の助けにならないといけないのに。偶然漏れ聞いた盗賊の会話から、押し込みを未然に防いだものの、盗賊に刺され、瀕死の状態になる亮吉。これがきっかけで、一人前になるといいが。

三つめのテーマは、政次が密かに取り組む御用。北町奉行に呼び出された政次は内与力から、秘密の探索を頼まれる。町奉行になる前、大阪奉行だった小田切奉行は、最後の働きとして、当時大阪で暴れていた女盗賊、夜桜お寅を捕縛し、島送りに処した。そのお寅が島抜け、奉行と捕縛の場となった商家、今は江戸で商売してる店の双方に恨みを晴らすという手紙を送り付けてきた。そのお寅の探索を密かにしてほしいと。
ただの盗賊にしてはおかしいが、内与力は詳しい事情を明かさない。
手下にも詳しいことを話さず、島抜けの女賊の行方を探索する政次。なじみの同心の助けもあり、脅されている商家の主を問い詰めて、事情を把握した政次は、折しも手下が見つけた女賊お寅と差しで話し、ついに口を封じる。
どうやら奉行と女賊は情を交わした仲で、白州でそれが暴露されないように始末したのだろう。
宗五郎に代わり、難問を解決した政次は、もう押しも押されない一人前の金座裏の親分。
これで亮吉に形がつけば、大団円かな。