四十代の青柳誠一はずっと総務畑に勤務していた。そつなく与えられた仕事はこなしてきた。製薬会社が飲料水や化粧品、さらに製菓会社も合併して、ヘルシースイーツを理念に会社を革新しようとしていた。新社長が求める社員は、自らの革新をしようとする意欲のある人材。
そのため窓際に追い込まれようとしていた誠一に与えられた職務は、思いがけないものだった。社名変更のイメージキャラクターである、海外で人気のバレエの高野悠が帰国して、ダンスの公演を行う。当社が全面支援するので、バレエ団との調整役を勤めること。高野の古巣である小バレエ団だが、社長の娘がプリンシパルである、敷島バレエ団。
辞令を受ける前に、誠一は妻と娘に縁を切られていた。四十を迎え、実母を亡くした妻は、夫との会話もない生活にうみ疲れ、将来に不安を覚え、家を出ていき、離婚を望んでいる。
ダブルパンチを見舞われた形の誠一だが、とにかくバレエ団に出向する。
バレエのこともわからないが、今までの経験から、事務員もいない弱小バレエ団の雑用係から始める。そのため、かえって重宝がられ、団員に好かれる存在となる。
バレーボールの選手だった瀬川由衣は怪我のために、コーチとなり、中学の先輩山田の引きで、合併された製菓会社に勤めていた。担当していたマラソンランナーが妊娠し引退するというハプニングのため、首切りも覚悟していた。そんな由衣に与えられた新たな職務が、バレエダンサー高野のコーチ。
誠一と由衣の二人が、新たな職務を遂行していく過程と、それに絡む会社やバレエ団の人々、さらにダンサーとコーチ、調整役との絡みなどを描いている作品。
人生に絶望していた二人が新たな希望を見いだす物語でもある。
さすがに伊吹さんはうまい。引き付けられ感動的な物語だ。