みとや・お瑛仕入帖シリーズのニ作目。あいにく図書館に一作目がなかったので、こちらを先に読むことになったが、違和感なく楽しく読めた。

みとやは食べ物以外なんでも扱う雑貨屋で、すべての商品を三十八文で扱うことから、語呂合わせで屋号をつけた。
十六七のしっかりものの若い娘お瑛が店番と仕入帖をつけ、一見頼りない六歳年上の兄長太郎が仕入に出掛ける。
二人の実家は日本橋室町で小間物屋をしていたが、永代橋の崩落事故で両親をなくし、父の異母弟で奉公人扱いをされていた叔父の益次に店を乗っ取られた上、悪党のために人手にわたることになってしまった。世間に放り出された二人を世話してくれたのが、柳橋の料理茶屋、柚木の女将お加津。もとは益次の指示だったらしいが、女将は兄妹を親身に面倒を見てくれた上、みとやを開く手助けもしてくれた。

そんなみとややお瑛が出くわす事件や騒ぎを描いた短編が並ぶ。
近所に新たに店開きした四文で惣菜を売る店。主は吉原で花魁だった花巻。その美貌目当てに近所の男たちが騒ぐ。その花巻の活躍で事件が収まる話。

娘ながら船を操ることができるお瑛は過去を振り返ることなく前を向いていきたいと言う気持ちから、いつしか早く走らせるのが楽しみとなる。そんなお瑛に走り比べを挑んできた船頭辰吉。その家族にまつわる話。

近所の人形屋でぼや騒ぎがあり、兄が仕入れてきた市松人形。それにまつわる騒ぎを描いた話。

兄が仕入れてきた秋花の簪。裏で寺子屋を開く浪人が花巻に渡そうと買うが、お瑛は要らぬ心配をする。秋花の別名は女郎花。もと花魁に渡すにはどうかと。

幼馴染みのおせんに出会ったお瑛は、彼女の数奇な運命のひがみからあらぬ疑いをかけられて困惑する。盗品を扱っていると瓦版にかかれ、客足が止まる。そんなおせんをほっとけないお瑛の奮闘。それに平行してお瑛は見覚えのある景色と自分と母に似た女性が描かれた錦絵の探索を進める。自分はもらい子だったのか。しかし真相は母の妹の養女になったものの、三歳のとき叔母がなくなり生家に戻った。そのときに描かれたものだと判明。ひと安心するお瑛。