読み終えたのは昨夕。

京都鷹ヶ峰御薬園日録。
幕府の御薬園としては、梶さんの作品で、江戸小石川にあると知ったが、実は江戸だけではなかったそうだ。長崎の十善師郷御薬園や、この物語の舞台となる京都鷹ヶ峰御薬園も幕府の直轄だった。さらに最初にできたのは江戸の麻布と大塚で、大塚はその後廃止され、麻布は小石川に移転した。したがって、京都鷹ヶ峰御薬園は一番古い御薬園となる。
鷹ヶ峰御薬園は藤林家と土岐家に薬園支配を命じられたが、土岐家は三代で廃絶。以後、藤林家が一手に支配してきた。現在の当主、匡は養子で二十九歳、妻初音がいる。代々の藤林家の当主は禁裏の御典医を兼ね、内裏には入れるが、主な患家は低位の公家や町衆。
先代の友である医師が妻をなくし、西洋医学を学び直したいと長崎へたつときに、幼い娘、真葛を藤林家に預けた。以来二十年御薬園内で育った真葛は卓越した調薬と薬草栽培の腕を持ち、さらに本草学や内科、外科にも通じている。
この真葛を主人公に、彼女が御薬園で遭遇する事件や騒ぎなどを描いたシリーズ。
真葛の亡き母は京都の公家出身。農家の出ながら学問で御門跡医師となった父と出会い、身分違いという父親の反対のため、勘当されて一緒になったため、いまだに祖父とは付き合いがない。ただ父親が長崎へいったまま行方不明となった孫娘のために、年に一度食料を送ってくる。

悪辣な薬種問屋での毒殺事件。
なにやら真葛と恋仲になりそうな本草学者、杳山が関わった貴重な檀木の仏像をめぐる騒ぎ。
疱瘡にかかった子供たちの明暗。
ふたりの女房を持つことになった気弱な男をめぐる騒ぎ。
御薬園の薬倉から盗まれた薬草と孤児の敵討ちの顛末。
宮廷の年中行事粥杖打ち、それに医師として出掛けた真葛。江戸に戻る杳山が真葛を師匠が幕命により行う薬草採取の旅に誘う。

主人公に魅力があれば、やはり引き込まれてしまう。続編も早く読んでみたい。藤林家当主に、女の身で江戸へいくことを反対された真葛だが、どうやら反対を押して江戸へいく様子。どうなることか。江戸では小石川御薬園も登場するんだろうな。