血液型性格分類が加熱した近未来が舞台とあるが、近未来ではなく現代と言えるのではないか。
骨髄移植をしないといけない白血病の女性患者は、ドナーがいると言うのに、提供者の血液型B型になるのが嫌で、手術を拒否。
あるいはB型であることを理由に退職させられたり、嫌われたり、非科学的な迷信だとわかっていながら、誰もが当たっているような錯覚にとらわれてしまう。
血液型と性格を直接結ぶ糸は、医学的にも科学的にも見つからないものの、逆にそんなものがないとは証明できない。それゆえに、根絶させることもできない。それに向けての奇跡的な方策をたどり寄せるまでの三人の臨床心理士の活躍を描いた作品。

著者松岡さんのいくつかのシリーズで主役を張る三人。「催眠」シリーズの嵯峨敏也、「千里眼」シリーズの岬美由紀、「蒼い瞳とニュアージュ」の一ノ瀬恵梨香。
松岡作品ははじめてだから、三人については知らなかったが、なかなか魅力的なキャラクターだ。もと幹部自衛官だった岬、ギャルっぽい恵梨香など。

白血病の既往歴のある嵯峨が再発して入院。同じ病院に血液型が変わるために骨髄移植手術を拒否する女性。彼女にカウンセラーとして寄り添う嵯峨は自身の治療を後回しにして、彼女を説得しようとする。そんな嵯峨を慕う岬は、なんとしてもブームの血液型判断を錯覚だと世間に認めさせようと、動き回るものの、突破口がなかなか見つけられない。

ブログのやり取りから始まった白血病患者の女性と若者の純愛物語。テレビドラマとして評判になるが、放映されたドラマでの医療関係者の発言に問題がある。今は死病とは言えない白血病をいたずらに絶望視させている。それをなんとか解消させたいと努力する恵梨香。モデルの話が作り話だと証明することで、成功する。

岬は恵梨香だけでなく心理カウンセラーに関わる心理学、医学双方の団体を巻き込んで、一大アンケートを挙行し、その結果から、血液型判断の錯覚であることを世間に証明させる。

その事象があることを証明することはできても、ないことを完全に証明することは不可能だというセオリーを見事打ち破った三人の主人公たち。
最初は壁だらけでどうなることか心配だったが。最後うまくいって、よかった。まあ小説だからかもしれないが。