ようやく最後までたどり着いたものの、正直よくわからない。
上方で人気となったのち江戸に移った歌舞伎作者並木五瓶を主人公にした短編四編からなる。

最初と最後の二編が早くに、朝松健編のクトゥルー神話のアンソロジー『秘神界歴史編』や、えとう乱星・朝松健の共編『伝奇城』に寄稿して発表された作品だが、第二作目と三作目の原型はそれらよりも早くに執筆されていた。つまり、芦辺さんは懸賞小説を書き始めたころにその一編の原型を書いていたことになる。それほど昔から歌舞伎作者五瓶に関心があった。その理由について、芦辺さんは大学時代に読んだ井上ひさしさんの『戯作者銘々伝』に衝撃を受け、それに対抗しようと歌舞伎作者について調べるようになり、歌舞伎世界に興味を持ち、五瓶にたどりついたらしい。

大阪で歌舞伎作者の駆け出しだった五瓶、当時の五八は師匠正三の才覚に打ちのめされていた。そんな彼がある夜奇妙な行列を目にする。歌舞伎の芝居姿をした人々が行列となり歩いていた。彼の前にたった黒頭巾、その目を見て恐怖に駈られた五瓶は当て身を喰らい気を失う。
その謎解きを描いた編。けいせい伝奇城。

大阪中の芝居で作者を勤める五瓶だが、失敗続きで当たりがでない。商家のお嬢さんに奇妙な頼まれ事をされた。やがて心中する自分を見て、それを芝居にしてほしいと。数十年前に上様に拝謁した帰りに立ち寄った朝鮮国の使節一行の一人が殺された。その下手人伝蔵にまつわることを芝居に仕立てたのが五瓶の出世作で代表作となる。五瓶力謎絨。

江戸に大金で呼ばれた五瓶だが芝居が当たらず悩む。そんなとき見た写楽の役者絵。写楽とは何者か、興味を持ち調べ始める五瓶。花都写楽貌。

芝居の最中にいきなり身の毛もよだつ怪物が現れて騒ぎとなる。やってきた町奉行所のものは、後から来た得たいの知れない侍たちに追い払われる。彼らはご三家水戸藩彰考館のものだという。怪物を呼び寄せたのも彼ららしい。外国の魔道書を使い、怪物を出現させようとしている。物語を通路にして異次元から現れる怪物を追い払うにはどうすればいいか。南北町奉行がひねり出した解決策は、怪物と戦い、追い払い、異次元に封じ込める芝居を作り、演じること。江戸中の芝居ものが集められ、頼まれた結果は、如何?戯場国邪神封陣。

なんともはや驚く話ばかり。