藩が取り潰しになり、浪人となり、両親を相次いで亡くした浪人塙十四郎。金になることなら、卑怯な悪事でなければ、何でもやり、酒を飲むのが楽しみだった。そんな塙がある夜、待ち伏せにあった篭を、得意の剣で救ったことがもとで、縁切り寺慶光寺のご用宿橘屋に雇われることになる。
寺の主は十代将軍のもと側室の尼僧。その後見を勤めるのが塙が救った篭の主で、もと老中の松平定信、隠居して、今は楽翁様。

縁切り寺に駆け込む女は町人ばかりでなく、武家の妻女もある。話の具合では刃傷沙汰や暴力沙汰になることもある。そのために楽翁により密かに推挙されたのが塙だった。
奇しくも寺役人は塙のかつての道場仲間。一刀流の道場で師範代を勤めた塙。浪々のみとなって、会えなくなった幕臣の金五とは五年ぶりの再会だった。

橘屋の主は未亡人のお登勢。藤七という男がその下で働いている。
寺役人は一人しかおらず、男女の仲のもつれから起こる騒ぎの真相を調べ、双方の事情やどちらに非があるかを調べるには手が足りない。その手助けをするのがご用宿に勤めるものの役割。

いまだ十七の嫁の訴えを聞いてみると、主の言い分と食い違う。娘の親も娘に冷たい態度。しかし、何か事情がありそうだと調べていくと、主の秘密の悪行が明らかになる。

離縁が決まった女が娘に会いに行ったまま行方不明。調べてみると娘も夫も消えている。怪しいのはとある旗本屋敷。病身の殿様の代わりに采配を振るう女郎上がりの女。貧乏な女を食い物にするばかりが盗賊の手引きにまで手を出していた。大工の男の弱味につけ込んで、襲う屋敷を物色。

あらぬ浮気の噂がもとで離縁され、身投げした武家の妻女を助けた塙。どうやら噂だけで離縁したわけではないようだ。殿様の密命を受けている夫が調べていることに、昔妻女を取り合った男が関わっているらしい。果たし合いに誘い込まれ、惨殺された武士。その無念を張らすため、悪行を調べあげ、家老に面談して、残された妻と息子の敵討ちに助太刀する塙。

著者のデビュー作とか、確かになかなかいいが。シリーズを読みたいかどうかというと、微妙だな。