江戸時代中期の大阪で生きた一人の女の生きざまを描いた作品。
物語の頭と最後に、著者が梅田の地下街で迷い込んだ古本屋で見た奴の小万、のちの三好正慶尼聞き書きなる和本と出くわしたエピソードについて書いているが 。これがどんな意味を持つのかがよくわからなかった。
戦国時代の武将三好長慶の子孫と言われる大阪の商家木津屋。炭屋と薬種屋を兼業して、世間に知られた分限者。武士よりも町人の数が圧倒的に多い大阪では、分限者と呼ばれる商家は江戸に比べてより世間の尊崇を受けていた。裏を返せばそれだけ注目される存在であった。
主人公である正慶尼が生まれたのは八代将軍吉宗の時代。彼女は生まれた頃に相次いで両親をなくし、兄と二人、祖母に育てられた。商家の主は男でないといけないという法のために、幼い兄が名目上は主となり、祖母の万が後見をした。
祖母は三好家の人で、若い頃は京の御所にいたこともあるが、兄の死で後を継ぎ、婿を迎えたものの、やもめとなる。さらに息子夫婦にも先立たれ、隠居する身が二人の孫を育てながら木津屋の屋台を支えた傑物のようだ。
おとなしく体が弱い兄は早くに主人として大事にされたが、妹の雪は、女には珍しい大柄で、男勝りの性格だった。
御所に勤めていた祖母は幼い孫たちに手づから読み書きを教え込んだ。分限者の娘である雪は読み書きや華道香道は習ったものの、家事は一切したことがなかった。町人が多い大阪では自衛のために大きな商家の雇い人は武術を習うことも多い。七歳の雪はなんとなく気に入っていた手代が柔の稽古にいくのについていき、やがて柔に夢中になる。かわいくて筋がよい雪は柔術の師範に気に入られ技も教え込まれて、女ながらいっぱしの腕になる。そして異様な風体のある男に出会う。浜仲士の矢筈の庄七。それが雪の最初の男となる。
連れの雇い女たちを助けるために町中で一暴れした雪は木津屋の鬼娘として評判になり、後の世までの語り草になる。
雪に短歌を差し出す男、同業の次男坊与四郎と知り合う。格好の婿候補として祖母が雪に女の道について一講釈をすると、雪は家の存続や世間の評判第一に考える祖母に反発を覚える。
庄七の喧嘩出入りに飛び込んで勇名を馳せた雪は一族の非難を受け、京で奉公に出る。そこでも侍と知り合い情を通じた雪。尊皇論者の男と所帯は持てないと知りながらも腐れ縁が続く。
物語の頭と最後に、著者が梅田の地下街で迷い込んだ古本屋で見た奴の小万、のちの三好正慶尼聞き書きなる和本と出くわしたエピソードについて書いているが 。これがどんな意味を持つのかがよくわからなかった。
戦国時代の武将三好長慶の子孫と言われる大阪の商家木津屋。炭屋と薬種屋を兼業して、世間に知られた分限者。武士よりも町人の数が圧倒的に多い大阪では、分限者と呼ばれる商家は江戸に比べてより世間の尊崇を受けていた。裏を返せばそれだけ注目される存在であった。
主人公である正慶尼が生まれたのは八代将軍吉宗の時代。彼女は生まれた頃に相次いで両親をなくし、兄と二人、祖母に育てられた。商家の主は男でないといけないという法のために、幼い兄が名目上は主となり、祖母の万が後見をした。
祖母は三好家の人で、若い頃は京の御所にいたこともあるが、兄の死で後を継ぎ、婿を迎えたものの、やもめとなる。さらに息子夫婦にも先立たれ、隠居する身が二人の孫を育てながら木津屋の屋台を支えた傑物のようだ。
おとなしく体が弱い兄は早くに主人として大事にされたが、妹の雪は、女には珍しい大柄で、男勝りの性格だった。
御所に勤めていた祖母は幼い孫たちに手づから読み書きを教え込んだ。分限者の娘である雪は読み書きや華道香道は習ったものの、家事は一切したことがなかった。町人が多い大阪では自衛のために大きな商家の雇い人は武術を習うことも多い。七歳の雪はなんとなく気に入っていた手代が柔の稽古にいくのについていき、やがて柔に夢中になる。かわいくて筋がよい雪は柔術の師範に気に入られ技も教え込まれて、女ながらいっぱしの腕になる。そして異様な風体のある男に出会う。浜仲士の矢筈の庄七。それが雪の最初の男となる。
連れの雇い女たちを助けるために町中で一暴れした雪は木津屋の鬼娘として評判になり、後の世までの語り草になる。
雪に短歌を差し出す男、同業の次男坊与四郎と知り合う。格好の婿候補として祖母が雪に女の道について一講釈をすると、雪は家の存続や世間の評判第一に考える祖母に反発を覚える。
庄七の喧嘩出入りに飛び込んで勇名を馳せた雪は一族の非難を受け、京で奉公に出る。そこでも侍と知り合い情を通じた雪。尊皇論者の男と所帯は持てないと知りながらも腐れ縁が続く。