『非道、行ずべからず』の事件から五年の文化十一年、三代目荻野沢之丞の葬儀の場面から始まる。前作では次男の宇源次に四代目を襲名させると宣言したはずだが、いまだに三代目は現役だった。これが最後と申し出た演目が道成寺。清姫役の沢之丞が落ちてくる鐘の下に飛び込む危険な芸。それを公称七十だが、五六歳はサバを読んでる老優が演じる。舞台に穴があり、奈落に台を備えて、そこに飛び込むはずだったが。なぜか台が置いてなくて奈落へ転落。しかも沢之丞は舌を噛んで絶命していた。事故か自殺か、はたまた誰かの陰謀か。道具方の甚兵衛が非難され、その後首吊り死体で発見されたが、どうも自殺ではなく殺人の疑いがある。
五年前には見習いだった同心薗部はいまや本勤の定町回り同心。先輩同心笹岡は臨時回りに転じている。その笹岡の娘と所帯をもった薗部には子供もいる。近くにすむ舅姑が連日のように孫を見に来る。一人っ子同士だから所帯を持つ条件が二番目の子は笹岡家の養子にするということ。それをせっつきに来る。しかし、薗部は沢之丞の死に続く中村座の事件の他に、川で見つかった大工の水死体も担当して、どちらもなんの目処もたたない。子作りする暇もない。

沢之丞の死後、いわれのない噂をたてられたり、師でも父でもある沢之丞の死を受け止められない次男の宇源次は酒に溺れ、中村座にも迷惑をかけている。彼を受け入れている、太夫元勘三郎とも縁のある躍りの師匠富美弥は、宇源次を立ち直らせるために、彼女が信心する感応寺の養命院住持、日頌の元に預ける。酒をたち、写経をし、話を聞く。そんななか寺で怪しげな男を見かけた宇源次。一旦寺を出た彼は寺の疑惑を話したことで、同心薗部に頼まれて、寺に戻り秘密を探ることに。
薗部が大工の事件で悩んでいるときに、同心仲間も大工の連続事件を別に調べていた。真面目な大工が秘密の仕事を受けた様子、それが寺では町方には捜査できない。

宇源次が見つけた秘密の隠し戸と部屋。命からがら逃げ出した彼により、大奥の女中を日頌が接待していたらしいとはわかるが、その先の調べは上役などに任せる他はない。
笹岡の姉が大奥の年寄りを勤めていることで訴えて、女中らは出家、寺のものは死罪となって決着。秘密は明かされないままの決着。

沢之丞を彷彿とさせる芝居に敗けを認めた宇源次は、逆に説得されて四代目を継ぐのを決意する。