お鳥見女房シリーズ第七巻。

主人公であるお鳥見女房、珠世の回りにはますます多くの家族が増えている。三人の子はみな身を固め、今作で三人とも子を持ち、親となる。つまり珠世はおばあさんになる。
長男の妻女はかつて幕閣ではぶりをきかした老中水野忠邦の家来である鷹匠のお嬢様鷹姫。不思議な縁で長男と結ばれ、夫婦となったものの、なかなか子ができなかったが、ようやく懐妊し、今作では女児が生まれている。次男は夫婦養子となり、子ができたものの流産。今作で誤解から夫婦の危機を迎えたものの、母である珠世のはからいで元に戻る。さらに養家の親族の子を引き取り、自分達の子として育てることになる。長女にはすでに二人の子があり、次女にも娘ができていて、珠世は五人の孫を持つことになった。
珠世の夫は今作で晴れて鳥見役からの引退を許される。
珠世のいとこでなさぬ仲の息子と折り合いが悪い登美と、長男の嫁である鷹姫の守役だった次左衛門の二人が居候として、小さな鳥見役の屋敷に住むことになる。懐妊中だった鷹姫には伝えられなかったが、実父の鷹匠がなくなったらしい。
珠世一家にかつて居候していた石塚家。その次女に初恋の機会が訪れる。十歳の頃に出会い、関わりを持った浮浪者の少年が、陶器職人となって七夕の日に再会した少女は幼いときめきを覚える。
近所の鬼子母神でシャボン玉売りをしていた老人と親交を結んでいた珠世。毎年春には江戸に戻っていたのに、今年は姿を見かけない。そんな折り、上方在番を済ませた次男が江戸に戻り、小田原でシャボン玉売りを見かけたと言う。病を得て衰えていたが、江戸に戻ると言っていたとか。それなのになかなか姿を見せない馴染みの男を心配して、家族のように探し始める珠世一家。彼の過去が今回明らかになる。

来るものは拒まず、を信条とする珠世の回りには互いを家族のように思う様々な人々が関わり、縁を繋いでいく。そしてそんな珠世の前には難題も次々と降りかかるが、家族一丸となって解決に奔走し、最後には珠世の英断で、落着する。
身分も俸給も低いお鳥見役、それでいて他国に出て隠密仕事もしなければならない過酷な役目。そんな夫や息子を陰で支え、不安な日々を過ごしてきたお鳥見女房の珠世。
江戸の西北、自然が多い地での四季のうつろいと人情の機微が描かれた傑作なシリーズ。次はどう展開するのだろうか。