なんとか最後まで読み終えたものの、どう評すればいいのか。
上巻の第一部は雑誌連載された作品で、下巻の第二部第三部は書き下ろしで、いちおう幻談は完了する。
第二部ではいまだ元気だったもと町奉行を歴任した還暦を過ぎた遠山も第三部では亡くなり、最後の決戦に望むのは、平田篤胤の娘おちょうと、その婿で塾を引きついだ銕胤。屋代翁の弟子である旗本の田村、水戸藩の藤田東胡。そして今回は京都の陰陽道の総帥土御門晴雄と、からくり儀右衛門こと田中久重。さらに国友鉄砲衆とその発明した気砲。

水戸に保存されていたエミシの頭領アテルイの生首を餌にして、鬼こと加藤重兵衛を水戸屋敷に誘き出す。空芒の時刻と方向を導きだして、その場でからくり時計に仕込まれた武器により、加藤も妖怪たちもあの世に封じ込めてしまおうと言う壮大なプロジェクトが描かれる。

安芸の国で本物の妖怪を呼び起こす木槌を手に入れた加藤は、五芒星に打ち込んだ杭を木槌で打ち込んで、次々と魔物を呼び出す。最初に現れたのは三びきの黄金の摩かつ魚、江戸川を遡行して江戸城に向かう。仏教でこの世界を支えていると言われる巨大な魚。大地を震撼させる怪物。つまり地震を引き起こす。
つまりは歴史上の安政の大地震に結びつけられている。

藤田の死を賭した行動で、加藤の野望をくじき、あわやの時、江戸の守り神であり、平田家の守護神である将門の亡霊により、なんとか生きながらえることができた面々。

死んだかに思えた鬼、加藤が生きながらえて、あるいは亡霊としてか、まだまだ日本転覆を企てる様子が、書き継がれていったらしい。

このあとの維新動乱期には新撰組の土方が活躍するみたいだし、明治以降の歴史の暗部を描いたのが、荒俣さんの長大なシリーズ、帝都物語というわけか。読んで見たい気もするが、まず無理だろうな。