主人公は江戸町奉行所の見習い同心となった十五歳の金子弥一郎。父は捕り物名人と言われた定町回り同心。そんな父を訪ねてきた商人下総屋と出会い、屋敷に同道したのが縁となる。店の雇い人の不始末を穏便に済ませたいと頼みに来た下総屋を知り、一緒に釣りをするようになった父親は、下総屋を気に入り、その娘を嫁に迎えることになる。
そんな父がなくなり、定町回り同心となった弥一郎は下総屋の娘と結ばれ、口やかましい母と暮らし始めるが、やがて嫁を認めた母ともうまくいくようになった頃に襲いかかったのが幕府の崩壊。明治維新だった。幕府とは違い、庶民の暮らしに密着した町奉行所はしばらくは同じ仕事をしていた。やがて嫁が初産で母子ともになくなり、さらにそれを気にやんで母親も世を去る。
町奉行所も廃されて、仕事をなくした弥一郎。同僚の多くは政府の同じような役目についたものの、弥一郎には弟を上野でなくしたこともあり、政府に仕える気になれず、しばらくもと岡っ引きで料理屋を営む男のもとに身を寄せて、居候暮らしをする。

同期に同心となった友で、今は政府の捕亡方になった成尾の依頼で、亡き妻の父親である下総屋の始めた店の難儀を助けるために、腰をあげた弥一郎。久しぶりに外に出た彼には新な出会いがある。売れっ子芸者の米八、さらに新聞社の記者や社主。それが縁で新聞記者となって働き始めた弥一郎。新政府の暗部を暴き出そうと、同心で培った捜査力でがんばったものの、なかなかこれはという成果ができない。

やがて社主が病死し、残った三人であとを継ぐことにしたものの、ネタが取れるまではそれぞれの仕事をすることになる。つぶしが効かない弥一郎には彼に惚れてる芸者米八の助けで、彼女の実家の口入れ屋の雇い人に剣術を教える仕事にありつく。
不平分子を扇動して政府にたてつく反乱を画策する男をおっていた弥一郎。そんな彼のもとに同心時代の上司が頼みごとに来る。上司の知り合いの九州の藩で反乱の計画があり、殿様の密書が親戚のもとに送られた。それを政府筋のものに見られたら藩はつぶれるため、密かに奪い取ってほしいと。密書は奪い取れたものの、頼んできた上司が惨殺されたのを知った弥一郎は、敵をとろうと、惨殺した一味の頭を調べ、ついに単身斬り倒す。以後、芸者の厄介者となる弥一郎。