読み終えてみると、確かにいくぶん前に読んだようなところもあるものの、全体としてははじめてといってもいいか。

十六歳の女子高生比奈子は、大学で英文学講じる父と二人暮らし。本好きな二人は会話はまれだが仲のよい親子。
いきなり休学したいと言う娘をしかりもせず訳も聞かない父。いきなりイギリスへ行くと言い出した父に自分は残ると宣言する娘。
それならと娘がいやがる父の姉である伯母の代わりに、娘の預かり先として言い出した、亡き母の親戚で月島で古本屋を営む緑朗さん。
母の祖母の妹である大叔母さんが経営する店を預かる緑朗さん。

訪ねていって気に入った比奈子は屋根裏の部屋に住み込み始める。暮らしていくうちにいろんな疑問が浮かんでくる比奈子。おじさんははっきり説明してくれず、何かを隠している様子。
やがて次第に比奈子は不思議な出来事やものに出会うようになる。店に出入りする黒猫の言葉、年下の少女姿で魔女だというミドリ。顔を見せない大叔母さんもミドリ。

ミドリさんは妖精界の女王で魔女、比奈子の祖母だとわかる。イギリスに留学した父が見初めて、この世界に連れ出した。さらに緑朗さんは父のいとこだったが、イギリス留学中に家業を継ぐのを嫌がって失踪し、妖精界へ取り込まれたらしい。だから父と同じくらいのはずなのに、今も青年の容姿。
古本屋になるのが夢だった緑朗おじさんは、妖精の女王の影の女王により引き込まれた比奈子と、夢の中で出会い、将来の夢について話したことがあった。

最初からそれを覚えていた緑朗さんと、忘れていた比奈子。それを思い出したことで、現実から逃げ出していた自分に気づいた比奈子は、夢で話した将来に向けて歩き出すことを決意する。

実年齢は親子ほども違う緑朗さんと古本屋をやっていくことにした比奈子は、高校に戻ることにする。緑朗さんの店を手伝いながら進学する比奈子。

緑金書房がある月島は、もんじゃで有名な月島とは背中合わせの異世界の店。誰もが行ける店ではないが、行けるものもいる古本屋。行ってみたいな。