旗本の部屋住みだった宗八郎は、剣の腕には自信があり講武所に出入りしていたが,幕府の瓦解と共に将来に見切りをつけて、家を出て浅草の芝居小屋に潜り込む。御家人出の女郎比呂と知り合い、同棲。上野での彰義隊のことを聞いて、出掛けた折りに見かけた悪魔のごとき残虐な薩摩武士。死体を切り刻み、侮辱する様に耐えられず、剣を抜いて対峙。なんとか相手を倒したものの、止めを指さず戻った。その男が新政府の高官とわかり、逃げるように比呂とともに蝦夷にわたる。しかし寒さに耐えられず、四年後帰郷。髪結いで生計を立てる比呂の養い亭主として世捨て人同様の暮らしをしていた。

そんな宗八郎を世に出そうと声をかけてきたのは実家の兄正矩。八年ぶりの再会。兄はかつては幕府の小納戸方を勤める旗本だったのに、今は横浜の商人高島屋に仕えるという。後に高島易段で有名になる彼が成功したのも易にしたがったためとか。
銀座にガス灯施設を推進している高島屋。邪魔者から工事を守るために雇いたいという。
紹介されて向かったのは銀座の煉瓦街の一角に唐物屋を開く若様。もと譜代大名大垣藩主の戸田家の分家。実母が高島屋の妹。若様が所有する、裏にたつ煉瓦作りの長屋の一室をあてがわれた宗八郎。彼はこの銀座に住み、若様をはじめとする知人と出会い、仲間として様々な事件に遭遇していく。なかでも重要な人物が、戸田家の知り合いである幕府の御殿医の娘である綾。西洋医学にも詳しい御殿医は明治の世にもそれなりに知られていて、綾は西洋人が居留する居留地にある女学校に通う。
若様の隣にはキリスト教の書籍を扱う原がおり、彼はアメリカに居住した経験がある若様や、綾と一緒にキリスト教徒になっている。宗八郎が住む長屋には、薩摩出身の巡査市来や土佐出身の民権運動家も住んでいる。

やがて宗八郎は旧知の叔父と孫息子と出会うが、叔父が残虐な政府高官に殺されるのを知る。さらに幕府の町奉行同心だった男の娘の虐待死にも出会い、犯人がどちらも宗八郎が上野で出会った薩摩の高官であることを知る。その地位の高さにより、巡査の市来はもとより警視庁長官でさえ、逮捕できないことを知った宗八郎は死を覚悟して、今一度対決することを決意する。それを知り、仲間となった人々が彼を止めるべく集まり、意見する。止められないとわかると、行を共にすると言う。

その結果は次巻待ちか。