少し怖いが、主人公の姉弟の勇気ある行動が感動的だった。
十四歳で天性の語り部たる姉モリーと片足が不自由な十一歳の弟キップは、赤髪のアイルランド人。十九世紀中頃のアイルランドはイギリスの支配下にあり、折しも飢饉により壊滅的な状態で、多くの住民がイギリスに渡り、さらにアメリカへ移住した。姉弟の両親も移住のため船に乗り込んだものの、船が座礁し、かろうじて二人を救命ボートにのせて助けたものの亡くなった。孤児院に引き取られた二人はそこを逃げ出し、ようやく見つけた仕事が田舎の屋敷での住み込み奉公。おんぼろ馬車で屋敷を目指す二人は、屋敷のことを話そうとしない農夫らのあとに会った語り部の老婆により、ようやく屋敷にたどり着いた。ながらく無人だった古い屋敷は川の中洲に建てられていて、森に囲まれている。しかも巨木が屋敷に並ぶように延び、枝の一部が屋敷内にまで延びている。夫婦と二人の子がいるウィンザー家は経済的には貧窮だった。投機で金をもうけようとしながら失敗してる主人には借金取りがやってくる。富裕な一族の娘だった母親は感動されて、一族の助けは得られない。借金返済のために装飾品などを次々と手放している。だから年若い奉公に来た二人をはじめは拒否したものの、モリーが娘に気に入られたことと、母親に必死に頼み込んで置いてもらう。

部屋の一室は秘密になっていて、誰もが自由に出入りできなかったが、やがて母親の目を盗んで鍵を持ち出し、家族の誰もが出入りしていた。その部屋の壁が巨木の幹になっていて、大きな穴がある。その穴に願い事をすると叶う魔法の巨木。父は返済の金を、母は宝石を、娘は魔法の物語の本を、息子は菓子を無尽蔵にてにいれていた。モリーも移住した両親からの手紙を手にいれていた。
願いが叶うのと裏腹に、家族は次第に健康を害していく。しかも夜になると夜の庭師とよばれる不気味なものが、屋敷中を出歩いている。

母がついに倒れたのをきっかけに、家族は夜の庭師と対決し、屋敷から逃げることを決意する。夜になる前に逃げようとした彼らに襲いかかったのが借金取りの二人。家族は縛り上げられたものの、モリーの機転で二人は秘密の部屋に閉じ籠られ、巨木の餌食となる。そして迎えた巨木との対決が見ものだった。

屋敷を灰塵にして難を逃れた家族。モリーとキップは語り部として旅立つ。