毎日新聞に連載された浅見探偵シリーズの作品。
奈良県橿原市にある畝傍考古学研究所が発掘作業を進めているのは、宮内庁の管轄で発掘ができない箸墓古墳の近くにあり、しかも年代が古いホケノ山古墳。そこの発掘のバイトにやってきた女子大生明美の登場から始まる物語。
この発掘作業を始め、定年後も作業に関わる小池先生。その小池が明美が登場したのと入れ替わるように失踪。やがて初瀬ダム湖で遺体が発見されたものの、殺人と見られたが犯人の手がかりはなく、捜査は膠着した。

小池先生が寄宿していた當麻寺の奥の坊の住職から、探偵としても知られた馴染みの浅見に、捜査の依頼があった。小池とは昔話をしたこともある浅見は、捜査を引き受ける。

住職の娘有里の大学の先輩が、研究所でバイトを始めた明美と言う縁で、研究所を訪れた浅見。
県立の研究所のため課長職の平沢、研究員の島田いづみと知り合う。

人に恨みを買うこともない人格者で、研究一筋で、家族もいない独り者の小池が誰から恨みを買ったのか?
住まいの部屋には研究関係以外のものは何もない。唯一見つかったのは、古い写真と返事と思われる手紙。

その二つが、小池の過去へ繋がるものと確信した浅見は微かな手がかりをたどり、小池の過去、交遊関係、恋愛模様にたどりつく。

一方、発掘現場では神獣鏡が見つかり、発見者の丸岡研究員に注目が集まった直後に、平沢課長が殺される。殺される直前に、小池の残した研究ノートで見つけた言葉のことを話した有里は、自分が殺人のきっかけになったのかと怯える。
平沢課長の容疑者として浮かんだ時の人丸岡は、事件時のアリバイを話さず黙秘。浅見は誰かをかばっていると想像する。きちんと話す方がいいと説得する。

浅見の過去への探索と想像で、小池の青春時代の群像とその関係が浮かび上がってくる。
友のために恋人を譲った小池、それを裏切りとして恨み、少しづつ歯車が噛み合わなくなった女性。その女性がいづみの祖母であることがわかったとき、浅見は小池殺害と平沢殺害の全貌が見えてきた。しかし、彼の頼みに応じない警察が動き始めた時には、いづみと母親は失踪。浅見は箸墓古墳で自殺したと想像はするが、あいにく警察も踏み込めない聖地。時間がたってから、何者かにより遺体は外へ持ち出され、犯人死亡で決着する。
古代ロマンより青春ロマンが気になった。