昨夜半分くらい読んだものの、結末が知りたくて、先に覗いてしまう。ハッピーエンドのようで、ひと安心。しかし、それとともに、最後まで読むのもおっくうになってしまった。

土砂災害で村が壊滅状態になった山梨県の山村。流れた土砂が川の下流域に堆積して、塞き止められた川が湖となる。それにより下流域の洪水被害が軽減されたことで、湖をダムにしようとする動きが出る。政府与党が推進し、村人の大多数も移住費用を得て、近くの高台に新しい村ができる。最後までダムに反対していた一部の村人は村八分にされ、姥捨て山の伝説からそう卑下されていた。
定年前にアルツハイマーの兆候が出た主人公は、風景がよい新しい村の中にある施設に入居。散歩の途中で、姥捨て村をみつけ、その魅力に引き付けられる。一見サービスがよい施設も心がこもってない印象を持っていた男は、姥捨て村にのめりこんでいき、やがてダム建設を取り止めて、水中に沈む姥捨て村こそ、新たな村人の未来に繋がると確信し、働き始める。ダム建設を推進する政府や新しい村と対立しながらも、姥捨て村を支持する外の世界の人々の協力を得て、ついにそれを勝ち取る。そんなような話。

姥捨て村で生産されるワインは知る人ぞ知る幻の銘酒、はちみつも自然の香りをとどめた一級の特産品。それにより高価でも需要があり、遠く県外から車で買いに来る客もかなりいる。そんなファンたちの協力を得て、政府が後押しするダム建設に反対していく人たちを描いている。

見せかけだけの便利さではなく、本とに幸せを感じられる生活ができるか、生涯が全うできるかを考えさせる話だった。
著者は私と同世代、東大在学中は六大学野球で活躍し、卒後、商社、テレビ局に勤めて定年退職。