大学生になった有栖を語り手に、推理小説研究会の部長である江神を探偵役にしたシリーズの初の短編集。長編はすでに四作が出ている。デビュー作『月光ゲーム』『孤島パズル』『双頭の悪魔』『女王国の城』。著者の予定では五編の長編でシリーズを締め括る予定だったが、五編目の長編の執筆が寄る年波のため難しくなり、短編集をまとめて終わるつもりだった。この短編集にはデビュー短編から二十七年にわたり、ボツボツと書かれた短編が並ぶものの、時系列で有栖のエピソードを並べていくと、かなりの欠落部分ができた。それを補うために、新たな短編を執筆し、第二の短編集をつくることでシリーズを卒業することにしたとか。
著者はミステリー好きで、京都の同志社大学に入学し推理小説研究会に入る。機関誌に掲載した作品がきっかけで作家デビュー。以後ミステリーを書き続けている作家。

正直、全体的には今一の印象かな。長編に比べ、短編が好きでないからかもしれないが。全九編の内、一番興味を覚えたのは最後の作で、はじめての女性部員マリアが入部するまでを描いた作品か。やはり女性がいない作品は私にはつまらない。

それと登場人物たちの好みが、大学生とあって、本格ものが好きな点でも、今の私には距離がある。実際は私も高校時代には本格もののクイーンなどにのめり込んだ経験があるから、いちがいに反対はできないが。
やはり年齢が関係するのかもしれない。大学生が主人公のミステリーに情緒を求めても仕方ないのかもしれない。
シリーズの長編、タイトルだけは見たことがあり知っているが、これから読んでみたい気持ちにはなれないかな。

大学を卒業し作家となった有栖が語り手となる、別のシリーズの方がいくぶん取っつきがいいかもしれない。今後読むとしたら、そちらの方だろうな。