今回の浅見探偵の相手役となるヒロインは馬籠出身の京都の女子大生美雪。卒論のテーマに選んだ皇女和宮の道中。夏休みに帰省するように父親に言われた彼女は、アッシーの先輩の車で和宮の道中をたどりながら馬籠へ向かう。渋滞する馬籠で追突したのが、偶然馬籠に来ていた浅見の車だった。姪に頼まれて、友達の母親が発見した殺人事件の調査に来ていた浅見。被害者の出身が馬籠の隣の妻籠。奇しくも知り合った美雪の母親も殺人事件の遺体を発見していた。東京と馬籠、別々の殺人事件に興味を覚えた浅見は、二人の被害者が似ているように思えた。婚期を逸して独身で勤めている。聞き込みでは二人の回りには男の気配もトラブルの影もない。警察は通り魔的犯行と決めつけ、捜査は進展しない。

二人の被害者の周辺をより深く調査していき、浅見は二人には人類学教授を接点にした繋がりのあることがわかる。その教授の代表的な研究が十数年前に行われた東京に埋葬された皇女和宮の棺の発掘調査。
棺の中にあった男性の写真。夫である十四代将軍徳川家茂か、婚約者だった宮様だったかにより、和宮のの印象は変わる。保存が悪くすぐに消えてしまったはずの写真坂が実は残っていると思った犯人は、それを譲り受けたと思った美雪の母親を脅迫していた。その写真を巡り、発見当時に二つの自殺めいた死があり、今回は教授に関わる女性が二人殺され、さらに教授を脅したと見られる男が殺された。
浅見は調査の結果、事件の概略と関係者の人間関係についてはおおよそ把握できたものの、状況証拠の積み重ねばかりで、確たる物的証拠はない。
警察に疑われたの契機に浅見は手のひらを警察に公開して、証拠を早急に確保することにする。警察庁の刑事局長である兄の威光により、一見でたらめな全体像を刑事たちに話すことができた。
知的な男ほどもろい。鑑識に自家用車が調べられることになった犯人は、証拠が見つかる前に犯行を自供した。

本当に和宮の棺に写真があったかどうかはよくわからないが、それにより和宮の人物像が変わったかもしれない、と思うとわくわくするな。
和宮の行列が一万人以上の大行列だったと知り驚いたし、道中での死を見越して、馬籠の脇本陣に棺を作り、用意されていたというのも興味深い話だ。