ロアルド・ダールコレクション全20巻の別巻1。
著者はロンドン在住の元教師。最後は十年間小学校の校長を勤めた教育者。子供たちが夢中で読むのを目撃していた。
その後英語教師の傍ら、子供の本の書評誌の編集長を勤めた。その間に子供の本の作家の多くにインタビューをして本にしている。
生前のダールとも親交がある。ともに子供を尊重すると言う共通の姿勢を持ち続けた彼のダールへの敬愛の思いと共に、ダールを愛する子供たちへの熱い共感が感じられる伝記となっている。

ダールの人生は波乱に飛んでいる。ノルウェー人の両親のもとに、イギリスのウェールズのランダフで生まれた。高校を卒業後、シェル石油に入社し、東アフリカ支店勤務となり、タンザニアへ。翌年第二次大戦が始まり、イギリス空軍に入隊。戦闘機乗りとなる。この頃の経験は本になっているし、事故の後遺症に生涯苦しんだ。事故のあと、アメリカの大使館付空軍武官として、アメリカの参戦に関する情報収集をするスパイとなる。個の経験は映画007の脚本となる。
戦後、飛行士の経験を本にし、『あなたに似た人』を出して、作家となる。アメリカで知り合った女優と結婚。イギリスの田舎家を購入し住まいとする。
五人の子供を持つも、長男が交通事故に遭い、水頭症で苦しむ。脳内の水を抜く装置の開発に協力する。不幸にも長女を病の合併症でなくす。アメリカの推理小説会で権威があるエドガー・アラン・ポー賞を二度受賞。
妻が脳動脈瘤破裂で倒れ、半身不随、視覚障害、知能減退となるも、夫婦の努力で奇跡的に回復。それは本となり、ドラマになり、マスコミに取り上げられて有名になる。
その後、子供たちに話す創作話をヒントに、子供の本を書きはじめる。
還暦過ぎてから妻と別居、六十六歳で離婚し、再婚する。

略歴を記してみたが、波乱にとんだ生涯といえる。ギャンブラーであり、アウトサイダーであり続けたダール。だからこそ、作品の種が次々とわき出てきたのだろうか。奇想天外で底抜けに面白い。それでいて、どこか怖いのも魅力的。しかも子供へのかわりない思いと視線で、それらの種を育て上げたからこそ、現在も子供たちに愛される作家になれたのだろう。

自伝的な作品もいくつかあると言うことなので、読んでみたいと思う。